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外壁塗装の「10年保証」は、法律で決まった年数ではありません。何年にするかも、何を直すかも、業者が自分で決めています。だからこの記事では、保証書のどこを読むかと、保証書とは別にある法律上の権利を分けて書きます。
結論|保証は業者が決めた約束。法律上の権利は保証書とは別にある
- 塗装工事の保証年数に法定の基準はない。「10年」「15年」「30年」はすべて会社ごとの設定です。年数が長いほど有利とは限りません
- 保証書がなくても、注文者には民法上の権利がある。引き渡された仕事が契約の内容に適合していなければ、修補などの追完を請求できます(第559条で売買の規定が請負にも準用され、第562条第1項が追完請求を定めています)
- ただし期限が短い。「注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないとき」は請求できなくなります(第637条第1項)。気づいたら、まず通知することが先です
- 契約書には契約不適合責任の定めを書く義務がある。建設業法第19条第1項第13号です
保証の中身は会社ごとに違います。同じ工事で何をどこまで保証するのか、複数社の書面を並べて比べるのが確実です。
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つまり確認の順番は、①保証書の「対象部位・対象症状・免責事項・起算日」を読む ②契約書に契約不適合責任の定めがあるかを見る ③リフォームかし保険に入るかを聞く、の3つです。年数を聞くのは最後でかまいません。
保証の対象外になるもの|色あせ・チョーキング・ひび割れはどう扱われるか
いちばん多い質問が「保証対象外になるものは何か」でした。上位の解説ページが共通して挙げているのは次の4つです。
- 天災による損傷(地震・台風・洪水など)
- 経年劣化による色あせや摩耗
- 人為的な過失による破損
- 建物の構造的な欠陥から生じた不具合
そのうえで、施主側の見込みとずれやすいものを3つ挙げます。
- チョーキング(触ると白い粉が付く状態)は、経年劣化として免責に入っていることが多い症状です。塗膜が寿命を迎えたサインなので、「不具合」ではなく「時間が経った結果」として扱われます
- ひび割れは原因で分かれます。下地のモルタルや躯体が動いて出たひびは、塗装の施工不良ではないため対象外にされやすい。幅の基準と補修の考え方は外壁のひび割れ補修にまとめています
- 雨漏りは、外壁塗装の保証では直らないのが原則です。塗装は防水層ではありません。外壁からの雨漏りのほうを見てください
法律の側にも同じ趣旨の制限があります。民法第636条は、「注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合」を理由とする請求はできないとしています。ただし同条ただし書で、「請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったとき」は制限されません。施主が指定した塗料で不具合が出ても、業者が不適当と知っていて黙っていたなら話は別、ということです。
対象外かどうかは、最終的に保証書の免責事項に書いてあります。契約前に、その欄を声に出して読み上げてもらうのが早いです。
免責事項の書き方には会社の姿勢がそのまま出ます。書面を先に出せる会社かどうかは、見積もりの段階で分かります。
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保証期間は何年が目安か|10年・15年・30年という数字の読み方
塗装工事の保証年数に法定の基準はありません。上位の解説ページは塗料の種類ごとに年数の目安を並べていますが、その数字の出どころを示しているページは見つけられませんでした。だからここでは年数の一覧は出さず、数字の読み方を書きます。
- 保証年数は耐用年数ではない。塗料の期待耐用年数が15年でも、工事保証が15年つくわけではありません。塗料ごとの耐用年数の考え方は外壁塗装で一番いい塗料は?にあります
- 年数が長いほど免責が広いことがある。「30年保証」でも、対象症状が塗膜の剥離だけなら、色あせもひび割れも入りません。年数を延ばすかわりに条件を絞る、という設計は成り立ちます
- 起算日で実質の長さが変わる。引渡日か、完了確認日か、請求書の日付か。保証書に起算日が書かれていないものは、年数を比べる意味がありません
- 比べるのは「年数 × 対象症状 × 免責」。この3つをそろえないと、A社10年とB社15年のどちらが厚いかは判定できません
参考になる公的な数字が1つあります。住宅瑕疵担保責任保険協会のリフォームかし保険Q&Aによると、リフォームかし保険の保険期間は「工事部分と工事の瑕疵が原因で発生する不具合によって、5年間または1年間となります」。工事保証とは別の制度ですが、保険会社が塗装を含むリフォームに付ける期間は、この長さで設計されているということです。なお、どの工事部分が5年でどこが1年かは、このQ&Aには書かれていませんでした。
新築から10年以内であれば、そもそも売主に責任が残っている可能性があります。この場合は塗装業者の保証の話ではありません。品確法の10年のほうを先に確認してください。
PR保証の条件を比べるには、まず同じ工事で複数社の書面を集める必要があります。集め方は3つです。
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保証はどこまでか|対象部位・対象症状・免責の3点で決まる
「保証範囲はどこまでですか」という質問も多かったので、保証書の読み方を先に書きます。範囲は次の3点の掛け算で決まります。
- 対象部位:外壁だけか、屋根も入るか。付帯部(雨樋・軒天・破風・雨戸)が入るかどうかは分かれます。屋根も塗るなら屋根塗装の相場のほうも見てください
- 対象症状:剥離・膨れ・割れ・変色のうち、どれが対象か。「塗膜の剥離のみ」という設定は珍しくありません
- 免責事項:天災・経年劣化・第三者の行為・施主の改造など、責任を負わない条件。ここが本体です
この3点が書面に書かれていない「口頭の保証」は、後から中身を確かめられません。見積もりの段階で保証書のひな形をもらえるかどうかを聞くと、会社の姿勢がそのまま出ます。
そもそも外壁塗装に保証はあるのか|3種類を分けて見る
「外壁塗装に保証はありますか」という質問には、3種類に分けて答えるのが正確です。
- 施工保証(自社保証・工事保証):工事をした会社が出すもの。塗装工事の保証はほぼこれです。会社が続いている限り有効
- メーカー保証(製品保証):塗料メーカーが出すもの。戸建ての塗装では付かないことがほとんどで、上位ページも「塗料は半製品で、施工品質を管理できない」ことを理由に挙げています
- リフォームかし保険:保険法人が引き受けるもの。会社の存続と切り離せる唯一の仕組みです
この3つのうち、会社がなくなっても残るのは3番目だけです。だから次にその中身を書きます。
リフォームかし保険の中身|誰が申し込み、倒産したらどうなるか
ここは推測が混ざりやすいところなので、住宅瑕疵担保責任保険協会のリフォームかし保険Q&Aに書かれている内容だけを並べます。
- 申し込むのは事業者。「保険の申込はリフォーム工事業者が行います。直接お申し込みいただくことはできません」。施主が自分で入ることはできません
- 加入は義務ではない。「リフォーム工事での保険加入は義務付けられていません。リフォーム工事業者が任意で加入するものです」
- 現場検査がある。「所定回数の現場検査があり、いずれの検査にも適合する必要があります」。検査員は「適合判定資格者または建築士の資格を保有した検査員が実施します」
- 倒産しても請求できる。「消費者から住宅瑕疵担保責任保険法人に直接通知して保険金を請求することができます」
- 保険料を払うのは加入する事業者。ただし「費用負担は当事者間で決めていただきます」とあり、見積書に転嫁されることもあります
- 保険期間は引渡日から。「工事が完了した引渡日(工事完了確認日)から」始まり、長さは「5年間または1年間」です
つまり第三者の検査が入ること自体が、この保険の値打ちです。加入するかどうかを聞くだけで、現場検査に耐える工程を組む会社かどうかが分かります。
保証書がなくても使える権利|民法の契約不適合責任と、1年の通知期限
保証書をもらえなかった、あるいは保証の対象外だと言われた。このときに残っているのが民法の契約不適合責任です。上位12ページのうち、この条文を挙げているページはありませんでした。
- 請負にも売買の規定が準用される。第559条「この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。」
- 修補を請求できる。第562条第1項「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。」
- 期限は「知った時から1年以内の通知」。第637条第1項「注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。」
- 業者が知っていた場合はこの期限が効かない。第637条第2項「前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。」
ここで大事なのは「1年以内に直してもらう」ではなく「1年以内に通知する」という点です。話し合いが長引いても、通知が期限内なら権利は残ります。電話だけで済ませず、日付の残る形(メール、書面)で「どこがどうなっているか」を伝えてください。
なお契約不適合責任は「契約の内容に適合しないこと」が前提です。だから契約書と見積書に仕様がどこまで書かれているかが、そのまま権利の広さになります。確認する項目は外壁塗装の見積もりにまとめています。
契約書の契約不適合責任の欄を、契約前に見せてもらえるか。同じことを何社かに頼むと、対応の差がはっきり出ます。
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契約書に書かれていないといけないこと|建設業法第19条第1項第13号
建設業法第19条第1項は、請負契約の当事者が契約締結時に書面に記載すべき事項を列挙しています。その第13号が契約不適合責任です。
「工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容」
条文は「定めをするときは、その内容」という書き方です。定めを置くかどうかは当事者が決められますが、置くなら書面に書くという構造になっています。逆にいえば、契約書に契約不適合責任の欄が空のまま渡されたら、その場で「ここは何も定めないという意味ですか」と聞くべき箇所だということです。
あわせて国土交通省「住宅リフォーム事業者団体登録制度」も使えます。登録団体の構成員は「契約時に必要な書面を交付」し、「一定額以上の工事ではかし保険に加入します」とされています。16団体が登録されており、国は「消費者が住宅リフォーム事業者の選択の際の判断材料とできる」としています。業者を公的な記録で裏取りする手順は外壁塗装の業者の選び方にまとめました。
業者が倒産したら保証はどうなるか
施工保証は、その会社が出している約束です。会社がなくなれば、約束を履行する相手がいなくなります。上位ページもここは一致していて、「業者が倒産したら工事保証はなくなる」と書いています。
残る道は2つです。
- リフォームかし保険に入っていた場合:「消費者から住宅瑕疵担保責任保険法人に直接通知して保険金を請求することができます」。これが唯一、会社の存続と切り離せる仕組みです
- 業界団体の長期性能保証制度に加入していた場合:建築産業専門団体連合会、マスチック事業協同組合連合会、日本塗装工業会などが制度を持っていると上位ページが挙げています。ただし各制度の条件は当日確認できていません(後述)
契約前に聞く質問は1つで足ります。「この工事はリフォームかし保険に入りますか。入らないなら、その理由を教えてください」。加入は任意なので、入らない選択自体は普通のことです。理由の説明が返ってくるかどうかを見ます。
ハウスメーカーや家電量販店で頼んだ場合の保証
積水ハウス、トヨタホーム、一建設のようなハウスメーカーで建てた家と、エディオンやヤマダ電機のような家電量販店の窓口から頼む場合は、見るところが変わります。
ハウスメーカーで建てた家の場合
長期保証の条件に「指定の時期に点検を受けること」「指定の有償メンテナンスを行うこと」が入っていることがあります。この場合、他社で塗ると建物の長期保証の条件から外れることがあり、塗装の保証とは別の話になります。条件の見方は外壁塗装は何年ごと?にまとめました。各社の年数はこの記事では断定しません。引き渡し時にもらった保証規定の冊子に、点検と有償工事の条件が書かれているので、そこを見てください。
家電量販店や商社が窓口の場合
確認することは1つです。保証書の発行者名が、窓口の会社か、実際に工事をした会社か。発行者が工事をした会社なら、その会社が続いているかどうかが保証の前提になります。窓口の会社が発行しているなら、施工店が変わっても窓口に言えます。どちらが良いという話ではなく、連絡先がどこになるかが変わるので、先に聞いておく項目です。
保証書で確認する7項目
契約前に、この7つが書面で読めるかどうかを見ます。口頭の回答はメモに残してください。
- 対象部位:外壁・屋根・付帯部のどこまでか
- 対象症状:剥離・膨れ・割れ・変色のどれが入るか
- 免責事項:天災・経年劣化・第三者の行為・施主の改造
- 保証期間と起算日:何年で、いつから数えるか
- 保証の発行者:会社名・住所・連絡先が入っているか
- 請求の手続き:どこに何を出すか。写真が必要かどうか
- 途中の条件:有償点検や有償メンテナンスを受けることが条件になっていないか
あわせて、工事中の記録も自分の側に残しておきます。施工前後の写真と、実際に使った塗料の缶(空缶)の写真です。上位ページも共通で挙げている項目で、後から「契約した仕様で塗られたか」を示す材料になります。仕様が見積書と合っているかの確認方法は国交省指定の窓口に無料で見てもらう方法のほうに書きました。
この記事で確認できなかったこと
- 塗料の種類別の保証年数の目安。ウレタンは何年、シリコンは何年という一覧を上位ページが出していますが、その数字の出どころを示しているページを見つけられませんでした。数字を写すのをやめ、年数の読み方だけを書いています
- リフォームかし保険で5年になる工事部分と1年になる工事部分の区分。リフォームかし保険Q&Aには「工事部分と工事の瑕疵が原因で発生する不具合によって、5年間または1年間となります」とあるだけで、内訳は書かれていませんでした。加入予定の保険法人に、対象部位ごとの期間を聞いてください
- 業界団体の長期性能保証制度の各条件。建築産業専門団体連合会、マスチック事業協同組合連合会、日本塗装工業会の制度が上位ページに挙がっていますが、加入条件と保証内容の一次情報を当日取得できていません。倒産に備えるなら、まずリフォームかし保険の加入可否を聞くほうが確実です
- ハウスメーカー各社の保証期間。各社の保証規定は施主に渡される書面に書かれており、公開ページから年数を確認できませんでした。手元の冊子を見るのが唯一の確実な方法です
よくある質問
Q. 外壁塗装の保証に関する法律は?
A. 塗装工事の保証年数を定めた法律はありません。関係するのは民法の契約不適合責任(第559条・第562条・第636条・第637条)と、契約書の記載事項を定めた建設業法第19条第1項第13号です。新築から10年以内であれば品確法が関わることもあります。
Q. 外壁塗装の第三者保証とは?
A. 工事をした会社ではなく、保険法人や業界団体が保証の主体になるものを指して使われます。代表がリフォームかし保険で、事業者が加入し、所定回数の現場検査に適合することが条件です。事業者が倒産しても、消費者から保険法人に直接請求できます。
Q. 外壁塗装の塗料は30年保証ですか?
A. 塗料そのものに30年の保証が付くことは、戸建ての塗装ではほとんどありません。「30年保証」と書かれている場合は、年数ではなく対象症状と免責、そして途中の有償メンテナンスが条件になっていないかを確認してください。年数を長くするかわりに条件を絞る設計は成り立ちます。
Q. 外壁塗装のチョーキングは保証対象ですか?
A. 経年劣化として免責に入っていることが多い症状です。触って白い粉が付くのは塗膜が寿命に近いサインで、塗り替えの時期の目安として使われます。ただし引き渡しから1〜2年で出た場合は経年劣化とは言いにくいので、日付の残る形で業者に通知してください。
Q. 外壁塗装のひび割れは保証対象ですか?
A. ひび割れ(クラック)は原因で分かれます。塗膜だけが割れているなら施工側の問題として扱われることがあり、下地や躯体が動いて出たひびは対象外にされやすいです。幅と深さの見方は外壁のひび割れ補修にあります。
Q. 保証書を出さない会社とは契約しない方がよいですか
A. 保証書がなくても民法上の請求はできるので、「保証書がない=権利がない」ではありません。ただし対象症状と免責が書面にないと、話し合いが「言った・言わない」になります。出せない理由を聞いて、納得できなければ他社の書面と比べるのが早いです。
まとめ
- 塗装工事の保証年数に法定の基準はない。年数だけを比べても厚みは分からない
- 対象外になりやすいのは天災・経年劣化・人為的な過失・建物の構造的な欠陥。チョーキングと下地由来のひび割れ、雨漏りは見込みとずれやすい
- 保証書は「対象部位 × 対象症状 × 免責 × 起算日」で読む。年数は最後
- 保証書がなくても民法の契約不適合責任が残る。ただし不適合を知った時から1年以内の通知が要る(第637条第1項)
- 会社の存続と切り離せるのはリフォームかし保険だけ。加入は任意なので、入るかどうかと理由を契約前に聞く
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