外壁塗装で一番いい塗料は?|種類別の単価・耐用年数と、見積書で確認する3点

一番いい塗料は?|種類別の単価と耐用年数

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外壁塗装の見積もりを取ると、「シリコンなら12年、フッ素なら15年もちます」といった説明を受けます。ただ、その年数がどこから出てきた数字なのかまで説明されることは、あまりありません。

この記事では、塗料のグレードを自分で確かめる方法と、「耐用年数◯年」という数字の正体を整理します。塗料ごとの費用の目安は費用相場の記事にまとめてあるので、こちらは「どう見極めるか」に絞ります。

目次

結論:塗料は3点で見る

  1. 見積書にメーカー名と製品名が書かれているか(「シリコン塗料」だけでは何も分からない)
  2. その製品の期待耐用年数が、メーカー自身によって公表されているか
  3. 比べる2社が、同じグレードの塗料で見積もっているか

この3つが揃っていないと、金額を比べても意味がありません。塗料のグレードが違う見積もりを並べて「こっちが安い」と判断するのが、いちばん多い失敗です。

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「一番いい塗料」は何か

この記事にたどり着く方がいちばん知りたいのは、たぶんこれです。答えを先に書きます。

耐久性だけで順番をつけるなら、無機がいちばん上です。次いでフッ素。ただし「自分にとって一番いい塗料」は、あと何年その家に住むかで変わります。

  • アクリル
    ㎡単価の目安:1,000〜1,800円
    耐用年数の目安:5〜8年
    30坪の総額目安:55万〜75万円
  • ウレタン
    ㎡単価の目安:1,500〜2,500円
    耐用年数の目安:8〜10年
    30坪の総額目安:60万〜110万円
  • シリコン
    ㎡単価の目安:2,000〜3,500円
    耐用年数の目安:10〜15年
    30坪の総額目安:70万〜100万円
  • フッ素
    ㎡単価の目安:3,000〜5,000円
    耐用年数の目安:15〜20年
    30坪の総額目安:90万〜120万円
  • 無機
    ㎡単価の目安:3,800〜6,000円
    耐用年数の目安:20〜25年
    30坪の総額目安:100万〜140万円

今もっとも多く選ばれているのはシリコンです。価格と持ちのバランスが理由です。

「最強」を選ぶべきかの判断

無機やフッ素を選ぶと、1回の工事は高くなりますが塗り替えの間隔が延びます。判断はこの3つで決まります。

  • 次に塗り替えるとき、自分は何歳か。いま60歳で無機(20〜25年)を選べば、次は80歳過ぎ。その工事を自分が仕切るのか、家族に引き継ぐのかで答えが変わります
  • その家にいつまで住むか。10年以内に売却や住み替えの可能性があるなら、高グレードにした分は回収できません
  • 下地の状態。外壁自体が傷んでいる場合、塗料だけ高くしても持ちません。塗料より下地補修にお金をかけるべき場面があります

「最強の塗料を選べば安心」ではありません。下地が持たなければ、塗料の性能は出ません。

「無機塗料はいくらか」

㎡単価で3,800〜6,000円、30坪の総額で100万〜140万円が目安です。シリコンとの差はおおむね30万〜40万円。この差額を、延びる年数(10〜15年→20〜25年)で割って納得できるかで判断してください。

なお「無機」と書いてあっても中身は製品によって違います。完全に無機の塗料は塗膜が硬くなりすぎるため、実際には有機成分と組み合わせた「無機ハイブリッド」が一般的です。樹脂名ではなく製品名で確認するという、この記事の本題に戻ります。

油性と水性はどちらが主流か

戸建ての外壁では水性が主流です。臭いが少なく、近隣への影響が小さいことが大きな理由です。

油性(溶剤系)は密着性や乾燥の速さで有利とされ、鉄部や過酷な条件の箇所で使われます。同じ製品名で水性と油性の両方が用意されていることも多く、「水性だから弱い」とは言えません。どちらを使うかは、塗る面の素材と現場の条件で決まります。

見積書に製品名まで書いてもらえば、水性か油性かはメーカーのカタログで確認できます。

塗料の種類(アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素・無機)は樹脂の名前でしかない

塗料のグレードは、ふつうアクリル・ウレタン・シリコン・フッ素・無機という順で説明されます。これは塗料に使われている樹脂の種類を指しているだけで、性能を保証する区分ではありません。

同じ「シリコン塗料」でも、製品によって耐候性はかなり違います。逆に、グレードの高いシリコン系が、安価なフッ素系を上回ることもあります。樹脂名だけでは判断できないということです。

客観的な物差しはある:JIS K 5658

日本産業規格に「建築用耐候性上塗り塗料」(JIS K 5658)という規格があります。ここでは樹脂の種類ではなく、試験の結果で1級・2級・3級に分けています。

  • 1級
    促進耐候性試験(キセノンランプ法):照射2,500時間で光沢保持率80%以上
    屋外暴露24か月:光沢保持率60%以上
  • 2級
    促進耐候性試験(キセノンランプ法):照射1,200時間で光沢保持率80%以上
    屋外暴露24か月:光沢保持率40%以上
  • 3級
    促進耐候性試験(キセノンランプ法):照射600時間で光沢保持率70%以上
    屋外暴露24か月:光沢保持率30%以上

実際には、1級にふっ素樹脂系、2級にシリコーン樹脂系、3級にポリウレタン樹脂系の製品が多く該当します。ただし規格そのものは樹脂の種類を指定しておらず、あくまで性能で分けています。「フッ素だから1級」ではなく、「1級の試験に通ったから1級」です。

※JIS K 5658の適用範囲は、建築物のコンクリート面・セメントモルタル面・プレキャストコンクリートなどです。窯業系サイディングの塗り替えがそのままこの規格の対象になるわけではありませんが、塗料の耐候性を比べる物差しとして各メーカーが同じ考え方の試験値を公表しています。

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「耐用年数15年」はどうやって決まっているのか

カタログに載っている年数は、正確には「期待耐用年数」と呼ばれます。塗料メーカーのプレマテックス商品部は、業界紙の取材でこう説明しています。

塗膜の下地保護機能が著しく低下し、塗り替えが必要となる目安の期間

そして、その算出根拠についてはこう述べられています。

促進耐候性試験による相対評価から推定した塗膜寿命のおおよその目安

つまり、実際に15年間その家に塗って確かめた数字ではありません。試験機で紫外線や水を当て続けて、他の塗料と相対的に比べた結果から推定された目安です。(出典:リフォーム産業新聞 2025年10月27日号)

試験時間は年数に換算できない

ここが重要なところです。促進試験の何時間が屋外の何年にあたるかは、塗料によって変わります。塗料メーカーの技術誌では、促進倍率について次のように説明されています。

試験対象となる塗膜の種類や組成などにもよるが、屋外ばくろに比べて数倍~10数倍ほどと考えてよい(サンシャインカーボンアーク灯式の場合)

「数倍から十数倍」と幅があり、しかも塗膜の種類によって変わる、ということです。試験時間を割り算して年数にする、という単純な話ではありません。(出典:関西ペイント「塗料の研究」No.145/2006年3月)

期待耐用年数は保証年数ではない

したがって「15年」は、条件が揃ったときの目安であって、15年もたなければ補償されるという意味ではありません。実際に何年もつかは、施工の良し悪し、下地の状態、日当たりや風雨の当たり方でも変わります。

保証について確認すべきなのは、カタログの年数ではなく施工店が出す保証書の内容と年数、そして保証するのが誰かです。

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見積書で確認する3点

① 製品名まで書かれているか

  • 外壁塗装工事 一式
    判断:何を塗るのか分からない。内訳の提出を求める
  • シリコン塗料 3回塗り
    判断:樹脂名だけ。同じ「シリコン」でも性能差が大きい
  • ◯◯ペイント △△トップ(シリコン系) 3回塗り 120㎡
    判断:製品名が特定できる。メーカーサイトで性能を確認できる

製品名さえ分かれば、あとはメーカーの公式サイトで期待耐用年数とJIS K 5658の等級を調べられます。これは業者に聞かなくても自分でできます。

「一式」でしか書かれていない場合の対処は、見積書の見方の記事にまとめています。

② 塗る回数が書かれているか

外壁塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本です。どんなに良い塗料でも、規定の回数と量を塗らなければ性能は出ません。期待耐用年数は、メーカーの指定どおりに塗った前提の数字です。

③ 2社が同じグレードで出しているか

A社がシリコン、B社がフッ素で見積もっていれば、金額が違うのは当たり前です。この状態で「A社のほうが30万円安い」と判断すると、比べたことになりません。

相見積もりを取るときは、先に「シリコン系で」「フッ素系で」とこちらから条件を指定すると、比較できる見積もりが揃います。業者に任せると、各社がそれぞれ推したい塗料で出してきます。

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グレードを上げるかどうかは、上げた場合と上げない場合の金額を並べて決めるのが確実です。

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グレードを上げるべきかの判断

高いグレードにすればいい、という話でもありません。判断材料を3つ挙げます。

次に塗り替えるとき、自分は何歳か

50代で塗るなら、シリコン(目安10〜15年)で1回、フッ素(目安15〜20年)でも1回、という差になりにくい場合があります。逆に、60代後半以降で「これが最後の塗り替えにしたい」なら、グレードを上げる意味が出てきます。

その家にいつまで住むか

10年以内に売却や建て替えを考えているなら、上のグレードの費用を回収できません。費用相場の記事に、塗料ごとの「1年あたりの費用」を計算した表を載せています。

下地の状態はどうか

ここが見落とされがちです。外壁材そのものやシーリングが傷んでいる家に高い塗料を塗っても、塗料の寿命より先に下地のほうが限界を迎えます。ひび割れやシーリングの劣化が進んでいる場合は、塗料のグレードを上げるより、下地補修にお金を回すほうが結果的に長くもつことがあります。

下地の状態は現地を見ないと分かりません。ここは業者の診断が分かれるところなので、複数社に見てもらって、診断が一致するかを確認するのが確実です。

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塗料のグレードと下地の診断は、業者によって見立てが変わります。まずは複数社の見積もりを比べてみてください。

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DIYで塗る場合、どの塗料を使うか

「外壁塗装のDIYにおすすめの塗料は?」と聞かれることがありますが、外壁の全面をDIYで塗るのはすすめられません。理由は塗料ではなく足場です。2階まで届く高さの作業は、脚立やはしごでは安全に届きません。塗料をどれだけ良いものにしても、この部分は解決しません。

DIYが現実的なのは、地上から手が届く範囲——1階の腰壁、物置、塀、門柱などです。この範囲なら水性の塗料(水性シリコンなど)が扱いやすく、道具を水で洗えます。臭いも油性より弱いので住みながら作業しやすいです。

ただし、DIYで失敗するのは塗料選びより下塗りです。既存の塗膜や下地との相性で密着しないことがあるので、製品の「適用下地」欄を見て、指定されている下塗り材(シーラー・プライマー)をそのとおりに使ってください。ここを省くと、上塗りがどれだけ高いものでも数年で剥がれます。

全面は業者に出して、DIYは範囲を限る。これが一番失敗しません。全面をDIYで塗ったあとに業者に出すと、剥がす手間が増えて結局高くなります。

「防水塗料」を使うとどうなるか

防水塗料というのは、樹脂の種類ではなく機能の呼び方です。ひび割れに追従する弾性のあるものを指して使われることが多く、モルタル外壁で細かいひび割れが出やすい場合に選ばれます。アクリル・シリコン・フッ素のような樹脂の名前と同じ列に並ぶ言葉ではありません。

注意点は2つあります。ひとつは、弾性のある塗膜は下地に水分が残っていると膨れの原因になること。もうひとつは、製品ごとに「防水」「弾性」の中身が違うことです。見積書に「防水塗料」とだけ書かれていたら、製品名とカタログの「弾性」「適用下地」の記載を確認してください。呼び方ではなく製品で判断する、という点はこの記事の3つの確認項目と同じです。

「一番長持ちする塗料はどれか」という質問も同じです。長持ちするかどうかは樹脂の名前だけでは決まらず、塗る回数と下地の状態で変わります。

まとめ

  • 「シリコン」「フッ素」は樹脂の名前で、性能の保証ではない。同じ樹脂でも製品によって差がある
  • JIS K 5658には試験にもとづく1級〜3級の区分がある(1級=照射2,500時間で光沢保持率80%以上)
  • カタログの「耐用年数◯年」は期待耐用年数で、促進試験の相対評価から推定した目安。保証年数ではない
  • 促進試験の時間は年数に単純換算できない。促進倍率は塗膜の種類や組成によって数倍〜十数倍と幅がある
  • 見積書では「メーカー名+製品名」「塗る回数」「2社が同じグレードか」の3点を確認する
  • 下地が傷んでいる家では、塗料のグレードより下地補修にお金を回したほうが長くもつことがある

本記事の規格・試験に関する記載は2026年9月20日時点で確認したものです。

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