外壁のひび割れ補修|放置するとどうなる・自分でできる範囲と、0.5mmの基準

外壁のひび割れ補修|放置するとどうなるか

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外壁にひびが入っていると、「これは放っておいていいのか」で迷います。判断の線が一つ、国の基準にあります。

目次

結論:0.5mmが一つの線。国の基準に書かれている

国土交通省の「既存住宅状況調査方法基準」(平成29年2月3日 国土交通省告示第82号、最終改正 令和6年3月15日 国土交通省告示第180号)は、中古住宅の状況調査で何を記録するかを定めた基準です。

その第5条第1項(木造)で、外壁について調査すべき「劣化事象等」として挙げられているのが、幅0.5ミリメートル以上のひび割れと深さ20ミリメートル以上の欠損です。同じ数値は第7条(鉄骨造)と第9条(鉄筋コンクリート造等)にも出てきます。

つまり0.5mm以上は、国が「記録に残す劣化」として扱う幅です。ここを超えていたら、様子を見る段階ではありません。

ただし逆は成り立ちません。0.5mm未満なら放置していい、という意味ではありません。この基準は「調査で記録する対象」を決めたものであって、補修の要否を決めたものではないからです。

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業界でよく使われる幅の区分

見積書や業者の説明では、次のような区分がよく出てきます。これは法令上の基準ではなく、事業者が実務で使っている目安です。国の基準は上に書いた0.5mmのほうです。

  • 0.3mm未満
    呼ばれ方・扱い:ヘアークラック。塗膜やモルタルの乾燥収縮によるものが多いとされる
  • 0.3mm以上
    呼ばれ方・扱い:構造クラックと呼ばれることがある。雨水が入るリスクが出てくる幅として扱われる
  • 0.5mm以上
    呼ばれ方・扱い:国の基準で「劣化事象等」として調査・記録の対象
  • 1.0mm以上
    呼ばれ方・扱い:大きなひび割れ。外壁の内部まで傷んでいる可能性があるとされる

0.3mmという数字は複数の事業者サイトで共通して使われていますが、出どころが法令ではない点は押さえておいてください。業者から「0.3mm以下なので大丈夫です」と言われたとき、それは業界の慣行であって国の基準ではありません。

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ひび割れは築何年で起こるか

「築何年で出るのか」という質問が多いのですが、ひび割れは築年数では決まりません。原因が3つあって、それぞれ出る時期が違います。

  • 乾燥収縮(モルタル・コンクリート系)
    出るタイミング:新築から早い段階でも出る
    見分け方:幅が細く、面に散らばる。進まないものが多い
  • 下地・構造の動き(地震・不同沈下)
    出るタイミング:築年数と関係なく、動いたあとに出る
    見分け方:1本が長く、幅が広い。斜めに走ることが多い
  • 塗膜の劣化
    出るタイミング:前回の塗装から年数が経つと出る
    見分け方:塗膜側だけが切れていて、下地まで達していない

つまり確認する順番は、築年数ではなく幅を測ることです。この記事の最初に書いた0.5mmの線が、その入口になります。

外壁の種類によって、最初に出る場所も違います。モルタル外壁は壁の面に出ます。サイディングは板より先に目地のシーリングが切れます。ALC(軽量気泡コンクリート)はパネルの目地と、パネル自体の小口に出やすい外壁材です。内部が細かい気泡の集まりで水を吸いやすく、表面の塗膜と防水層で水を止めている構造のため、ひびを見つけたら早めに塞ぐ判断になります。ALCの補修は一般的な外壁用のフィラーで埋めるだけでは足りず、ALC用の補修材と再塗装がセットになります。パネルの目地が切れているだけの場合は、ひび割れ補修ではなくシーリングの打ち替えです。目地が切れているだけなら、ひび割れの補修ではなくシーリングの打ち替えになります。

点検の目安としては、前回の塗装から年数が経っている家は、幅を測って写真と一緒に記録しておいてください。次に見たときに進んでいるかどうかが分かります。進んでいるかどうかが、そのままにしていいかの判断材料になります。

そのままにしておくとどうなるか

2番目に多い質問です。幅によって、放置したときに起きることが変わります。

  • 0.3mm未満
    放置するとどうなるか:塗膜の表面にとどまることが多く、すぐに雨水が入るわけではない。ただし数が増えていくなら、下地が動いているサイン
  • 0.3mm以上
    放置するとどうなるか:雨水が入るリスクが出てくる幅として扱われる。入った水は冬に凍って膨張し、ひびを広げる
  • 0.5mm以上
    放置するとどうなるか:国の基準で「劣化事象等」として調査・記録の対象。内部の鉄筋やラス網が錆びると、錆が膨張してさらに割れる
  • 1.0mm以上
    放置するとどうなるか:外壁の内部まで傷んでいる可能性。雨漏り、室内のカビ、構造材の腐りにつながることがある

「放置すると必ず雨漏りする」わけではありませんが、ひび割れは自然に閉じません。放置すると幅が広がる方向にしか進まない、というのが実務上の共通認識です。

とくに数が増えているかどうかを見てください。1本だけなら乾燥収縮の可能性がありますが、同じ壁に何本も出ているなら下地が動いています。

自分で補修できるか|DIYの線引き

「パテで埋められますか」「自分で補修できますか」「ホームセンターの材料で足りますか」という質問が非常に多いので、どこまでがDIYの範囲で、どこからがそうでないかをはっきり書きます。

  • 0.3mm未満・手の届く高さ・数本
    DIYの可否:DIYで対応できる範囲。外壁用の微弾性フィラーやひび割れ補修材で埋める
  • 0.3mm以上
    DIYの可否:DIYは勧めない。表面を埋めても内部に水が入っている場合、閉じ込めることになる
  • 2階以上・足場が必要な高さ
    DIYの可否:DIY不可。脚立からの転落事故が起きている
  • サッシまわり・目地まわり
    DIYの可否:DIY不可。シーリングの打ち替えが必要な箇所で、表面を埋めると症状を隠すだけになる
  • 塗り替えを1〜2年以内に考えている
    DIYの可否:DIYしない。塗装工事で下地補修として一緒にやるほうが安く、仕上がりもきれい

DIYで使う材料

ホームセンターで手に入るのは主に次のものです。

  • 外壁用のひび割れ補修材(微弾性フィラー、シーリング材)。チューブ入りでコーキングガンを使うタイプと、ヘラで塗るタイプがある
  • 補修用のパテ。ただし「パテで埋められますか」への答えは、内装用のパテではだめです。屋外は紫外線と雨、温度変化にさらされるので、外壁用・外部用と明記された製品を選んでください
  • マスキングテープとヘラ。はみ出すと目立つので養生は必須

色は必ず合いません。補修跡は残ります。目立たなくしたいなら、補修のあとに周囲と同じ色を塗る必要があり、そこまでやるなら塗装工事の一部としてやったほうが結果はきれいです。

DIYの手順

  1. ひびの幅を測る(測り方は後述)。0.3mm以上ならここで中止して業者に見てもらう
  2. ブラシで周囲のほこり・チョーキングの粉を落とす
  3. マスキングテープで補修範囲の外側を養生する
  4. 補修材をひびに充填し、ヘラで押し込んでならす
  5. 硬化する前にテープを剥がす(硬化後に剥がすと補修材ごと持っていかれる)
  6. 完全硬化まで雨に当てない。製品の指定時間を守る

DIYは応急処置です。次の塗り替えのときに、業者にどこを自分で埋めたか伝えてください。上から塗る前に、適切な処理をやり直す必要があることがあります。

ひび割れは火災保険で直せるか

「コーキングのひび割れは火災保険で補償されますか」という質問もあります。

経年劣化によるひび割れは、火災保険の対象になりません。対象になりうるのは、台風・強風・飛来物・雹などの自然災害が原因で生じた損害です。

判断の分かれ目と、申請するときの注意点(「自己負担ゼロ」をうたう業者への対処を含む)は外壁塗装に火災保険は使える?にまとめています。

補修工法と費用の目安

工法対象の幅費用の目安
シール工法0.2mm以下2万〜5万円
樹脂注入工法0.3mm以上数万円〜
Uカット充填工法0.3mm以上8万〜15万円
部分補修の総額—1万〜15万円

表の金額は、出張費や諸経費を含めた1箇所あたりの総額です。単価で見ると、シール(充填)工法は施工長1mあたり約700円、Uカット(Vカット)シーリング充填工法は施工面積1㎡あたり約4,900円が目安になります。Uカット(Vカット)シーリング充填工法は、0.3mm以上で深いひび割れが対象です。ひび割れに沿って溝を掘ってからシーリングを充填するため、単価も総額も上がります。

複数の事業者が公開している数値を突き合わせた目安です(2026年6月〜9月に公開・更新されたページを参照)。ひびの本数と長さ、足場の要否で変わるので、正確な金額は実測しないと出ません。

注意したいのは、高い位置のひび割れは足場が要ることです。補修だけのために足場を組むと、補修費より足場代のほうが高くなることがあります。塗り替えの予定があるなら、同じ足場でまとめたほうが結果的に安く済みます。

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補修だけで足場を組むか、塗装とまとめるか。両方の見積もりを出してもらうと判断できます。

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「塗れば直る」ではない

塗装はあくまで表面に膜をつくる工事です。ひび割れを塗料で埋めて終わりにすると、下でひびが動いて塗膜がまた割れます。

だから見積書では、ひび割れ補修が塗装とは別の項目として書かれているかを見てください。「下地処理一式」にまとめられていると、何をどこまでやるのかが分かりません。

また、ひびが動いている(幅が変わる)ものと動いていないものでは適した工法が違います。動きがあるものにかたい材料を詰めると、また割れます。ここを説明できる業者かどうかは、判断材料のひとつになります。

見積書で確認する5点

  1. ひび割れ補修が塗装と別項目になっているか。「下地処理一式」だけで終わっていないか
  2. 補修する箇所数と、1箇所あたりの単価が書かれているか
  3. 工法名が書かれているか。シール工法なのか、Uカットなのか、樹脂注入なのかで金額が変わります
  4. 足場が補修のために必要なのかどうか。塗装と同時なら足場は1回で済みます
  5. 補修後に塗る塗料と、その保証。補修した箇所だけ早く割れた場合の扱いを聞いておきます

この5点は、2社以上の見積書を並べるといちばん差が出ます。片方が「下地処理一式」で、もう片方が箇所数と工法まで書いていれば、比べる材料そのものが違います。

自分で幅を測るには

クラックスケールという、ひび割れの幅を測るための定規があります。ホームセンターやネット通販で数百円から手に入ります。壁に当てて、どの目盛りの線とひびの幅が同じかを見るだけです。

0.5mmを超えているかどうかは、これで自分でも確認できます。業者に見てもらう前に測っておくと、説明を聞くときの土台になります。

よくある質問

0.5mm未満なら放置していいですか

そうは言えません。国の基準は「状況調査で記録する対象」を決めたもので、補修の要否を決めたものではないからです。幅が小さくても、数が多い、同じ向きに並んでいる、窓など開口部の角から斜めに伸びているといった場合は、原因を見てもらったほうがいいです。

ひび割れから雨漏りしますか

外壁のひび割れがすぐ雨漏りにつながるとは限りませんが、雨水が入れば内部の下地が傷みます。0.3mm以上は雨水侵入のリスクが出る幅として実務で扱われています。

自分で補修できますか

市販の補修材で埋めること自体はできます。ただし原因が分からないまま表面を埋めると、動きの有無も分からないまま隠れてしまいます。高所は足場の問題もあります。幅が0.5mmを超えているなら、一度見てもらうことをすすめます。

火災保険は使えますか

経年劣化によるひび割れは対象外です。台風や地震など自然災害が原因であれば対象になる可能性があります。詳しくは火災保険の記事にまとめています。

まとめ

  • 国の基準(既存住宅状況調査方法基準)では、外壁の幅0.5mm以上のひび割れと深さ20mm以上の欠損が「劣化事象等」
  • 0.5mm未満なら放置していい、という意味ではない
  • 0.3mmという区分は事業者の実務上の目安で、法令の基準ではない
  • シール工法は1mあたり約700円、Uカットシーリング充填は1㎡あたり約4,900円が目安
  • 部分補修の総額は1箇所1万〜15万円前後。高所は足場代が乗る
  • 見積書では、ひび割れ補修が塗装と別項目になっているかを見る
  • クラックスケールがあれば、幅は自分でも測れる
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ひび割れの補修は、見積書に書かれ方が会社ごとに大きく違う項目です。2社並べると、箇所数と工法まで書く会社と「下地処理一式」で済ませる会社の差がはっきり出ます。

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