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外壁塗装の時期を調べると、たいてい「春と秋がベスト」と書かれています。ただ、それが自分の住んでいる地域にも当てはまるのかまでは、あまり説明されていません。
この記事では、国土交通省が定めている塗装の施工条件と、気象庁の平年値(1991〜2020年の30年平均)を突き合わせて、地域ごとに「塗りやすい月」「塗りにくい月」を整理します。
結論:「春と秋」は半分正しい
一戸建て(一軒家)の外壁塗装の時期は、住んでいる地域の気象条件で決まります。戸建ての外壁塗装でベストな時期を知りたい場合、全国共通の「この月」という答えはありません。このあとに載せた気象庁の平年値で、自分の地域の条件を見てください。
- 東京では、9月は6月(梅雨)とほぼ同じくらい雨の日が多い。秋なら10月後半〜11月のほうが条件がよい
- 東京・大阪・福岡の冬は、むしろ塗装に向いている面がある。雨が少なく、湿度も低い。注意点は朝晩の冷え込みと日の短さ
- 札幌・仙台など寒冷地の冬は、条件を満たしにくい。北海道なら5〜9月が現実的
- 梅雨の6〜7月は全国的に雨と湿度で工期が延びやすい
ただし、どの月でも「塗れない日」を避けて工程を組むのが業者の仕事です。大事なのは月そのものより、雨や寒さで工期がずれたときの扱いを契約前に決めておくことです。
時期で迷っているなら、先に見積もりだけ取っておくのが効率的です。見積もりには有効期限があるので、そのあいだに施工時期を決めれば間に合います。
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寒い時期でも塗れるかどうかは、その日の気温と湿度で決まります。寒い季節そのものが禁止されているわけではありません。国が定めている条件は次の項目にまとめました。
国が定めている「塗装してはいけない条件」
「向かない時期」「やってはいけない時期」「やらない方がいい時期」「避けるべき時期」——どの言い方で探しても、指しているのは同じものです。そして答えは季節ではなく、その日の気温と湿度で決まります。国の基準がそう定めているからで、次にその条文を見ます。
国の建物の改修工事で使われる公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版(国土交通省大臣官房官庁営繕部)には、塗装の施工条件がこう書かれています。
(1)気温が5℃以下、湿度が 85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない。ただし、採暖、換気等を適切に行う場合は、この限りでない。
(2)外部の塗装は、降雨のおそれのある場合又は強風時は、原則として、行わない。
(7章「塗装改修工事」7.1.6 施工管理より)
公共工事向けの基準ですが、住宅の塗り替えでも考え方は同じです。整理すると、外壁を塗ってはいけないのは次のようなときです。
- 気温5℃以下
理由:塗料が乾燥・硬化しにくく、塗膜の性能が出ない - 湿度85%以上
理由:乾燥が遅れ、仕上がりや密着に影響する - 結露している
理由:水分の上に塗ることになり、剥がれの原因になる - 雨が降りそう
理由:乾く前に濡れると塗膜が流れる・ムラになる - 強風
理由:塗料が飛散する、ゴミが付着する
つまり、時期を選ぶというのは「この条件に引っかかる日が少ない月を選ぶ」ということです。そこで、気象庁のデータで地域ごとに確かめてみます。
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気象庁の平年値で見る、地域別の条件
以下は気象庁「過去の気象データ検索」の平年値(統計期間1991〜2020年)から、塗装に関係する数字を抜き出したものです。
「雨の日」=日降水量1.0mm以上の日数(月平均)。「最低気温」=日最低気温の月平均で、朝の冷え込みの目安です。
東京
| 月 | 平均気温 | 最低気温 | 湿度 | 雨の日 |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 5.4℃ | 1.2℃ | 51% | 4.5日 |
| 2月 | 6.1℃ | 2.1℃ | 52% | 5.2日 |
| 3月 | 9.4℃ | 5.0℃ | 57% | 9.2日 |
| 4月 | 14.3℃ | 9.8℃ | 62% | 9.5日 |
| 5月 | 18.8℃ | 14.6℃ | 68% | 10.1日 |
| 6月 | 21.9℃ | 18.5℃ | 75% | 11.6日 |
| 7月 | 25.7℃ | 22.4℃ | 76% | 10.5日 |
| 8月 | 26.9℃ | 23.5℃ | 74% | 7.9日 |
| 9月 | 23.3℃ | 20.3℃ | 75% | 11.0日 |
| 10月 | 18.0℃ | 14.8℃ | 71% | 10.5日 |
| 11月 | 12.5℃ | 8.8℃ | 64% | 7.4日 |
| 12月 | 7.7℃ | 3.8℃ | 56% | 5.2日 |
ここから読み取れるのは次の3点です。
- 9月の雨の日(11.0日)は、梅雨の6月(11.6日)とほとんど変わらない。湿度も75%で6月と同じ。「秋がベスト」を9月に当てはめると、工期が延びやすい
- 11月は雨の日7.4日・湿度64%と条件がよい。気温もまだ十分ある
- 12〜2月は雨の日が月5日前後と最も少なく、湿度も50%台。朝の最低気温は5℃を下回るので、作業は日中に限られるが、平均気温は5℃を超えている
札幌
- 11月
平均気温:5.2℃
最低気温:1.6℃
湿度:67%
雨・雪の日:14.6日 - 12月
平均気温:-0.9℃
最低気温:-4.0℃
湿度:68%
雨・雪の日:16.0日 - 1月
平均気温:-3.2℃
最低気温:-6.4℃
湿度:69%
雨・雪の日:18.3日 - 2月
平均気温:-2.7℃
最低気温:-6.2℃
湿度:68%
雨・雪の日:16.0日 - 3月
平均気温:1.1℃
最低気温:-2.4℃
湿度:65%
雨・雪の日:13.9日 - 5〜9月
平均気温:13.0〜22.3℃
最低気温:9.0〜19.1℃
湿度:65〜75%
雨・雪の日:7.5〜10.2日
12〜3月は平均気温そのものが氷点下〜1℃台で、降水(雪を含む)の日も月14〜18日あります。冬の塗装は現実的ではなく、5〜9月が塗装の季節です。11月も平均5.2℃と、条件の境目にあります。
仙台
冬(12〜2月)は平均気温2〜4.5℃、最低気温は氷点下前後で、寒冷地に近い条件です。一方で7月は湿度83%・雨の日13.3日と、梅雨の影響が東京より強く出ます。春なら4〜5月、秋なら10〜11月が比較的条件のよい月です(11月は雨の日5.7日・湿度68%)。
大阪・福岡
大阪は通年で湿度が58〜70%と低めで、冬の平均気温も6℃を超えます。雨の日が最も多いのは6月(11.3日)です。福岡は冬でも雨の日が月8〜9日あり、東京ほど冬が乾燥していません。福岡の場合、雨の日が最も少ないのは10月(6.8日)です。
お住まいの地域の数字は、気象庁のサイトで地点を選べば同じ形で確認できます。
施工時期の相談も含めて、まずは複数社の見積もりを比べてみてください。無料で取り寄せられます。
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外壁塗装が一番安い時期はいつか
「安くなる時期」「一番良い時期」を知りたい人がいちばん多い質問です。先に結論を書くと、時期だけで大きく安くなることはありません。理由をこのあと順に説明します。
時期に関する質問で一番多いのがこれです。先に結論を書きます。外壁塗装に「季節で価格表が変わる」仕組みはありません。
見積書の中身を分解すると理由がわかります。金額を作っているのは次の4つです。
- 塗料代
決まり方:㎡単価 × 塗る面積
季節で変わるか:変わらない - 人件費(施工手間)
決まり方:延べ日数 × 人数。元になる公共工事設計労務単価は年1回(3月)改定
季節で変わるか:年単位でしか動かない - 足場代
決まり方:架面積 × 単価。仮設材のリース料が元
季節で変わるか:変わらない - 諸経費・廃材処分
決まり方:工事金額に対する比率
季節で変わるか:変わらない
つまり「夏だから高い」「冬だから安い」という値付けの根拠がどこにもありません。「今なら春の割引価格です」と言われたら、それは季節の相場ではなく、その会社が決めた値引きです。
では、値引きが出るとしたらいつか
会社側の都合で値引きが出る可能性があるのは、現場が埋まらない時期です。そして現場が埋まらない時期は、前の章で見たとおり施工できない日が多い時期と一致します。
- 6〜7月(梅雨)
現場が空きやすい理由:降水日数が多く、着工しても止まる日が出る
引き換えに起きること:足場が建ったまま工期が延びる - 12〜2月(寒冷地は11〜3月)
現場が空きやすい理由:気温5℃以下で塗装できない日が出る。日照時間も短い
引き換えに起きること:同上。積雪地では着工自体が難しい - 台風シーズン(8〜9月の一部地域)
現場が空きやすい理由:強風で足場作業・塗装とも中止になる
引き換えに起きること:同上
ここが大事なところです。「安い時期」の正体は「工期が延びやすい時期」です。値引き分と、足場が建ったままの日数が伸びること(洗濯物が干せない、窓が塞がれる、部屋が暗い)を天秤にかけて選ぶ話であって、単純にお得な月があるわけではありません。
なお、工期が延びても足場代は増えません。足場は一式で計上されているのが普通だからです。ただし契約書に「延長日数分を追加請求する」旨の記載がないかは、着工前に確認してください。
価格を動かすのは時期ではなく、比べたかどうか
時期で動く金額より、同じ工事を複数社に見積もってもらったときに出る差のほうがはるかに大きくなります。塗料のグレード、塗る回数、下地補修の範囲、足場の種類——見積書の前提が会社ごとに違うからです。
逆に言うと、時期を理由に急がせる営業には注意してください。「今月中に契約すれば決算値引き」「この価格は今日だけ」は、時期の話ではなく即決させるための手口です。
期限を切られたときの断り方は外壁塗装の訪問販売の断り方にまとめています。
業者が暇な時期・忙しい時期
「暇な時期を狙えばいい」という話をよく見かけますが、暇かどうかは会社の規模や地域で違います。確実に言えるのは、気象条件で施工できない日が多い月は、どの会社も現場が進まないということだけです。
前章の気象庁の平年値から、地域ごとに「着工が集中しにくい月」を読み取れます。東京なら12〜2月(気温)と6〜7月・9〜10月(降水日数)、札幌なら11〜3月です。
ただし「暇な時期=手を抜かれる」ではありませんし、「繁忙期=雑になる」でもありません。どちらの時期に頼むにしても、確認することは同じです。
- 工程表をもらう。何日目に何をするかが書かれているか。
- 雨で延びたときの扱いを聞く。日程がどうスライドするか、追加費用が出るか。
- 気温・湿度の条件を守るかを聞く。「気温5℃以下・湿度85%以上のときはどうしますか」と聞いて、即答できるかを見てください。
この3つを同じ言葉で各社に聞くと、時期の話より会社の差がはっきり出ます。
時期よりも確認すべきこと
雨で延びたときの扱い
どの季節でも、雨の日は必ずあります。契約前に「雨天で順延した場合、工期と費用はどうなるか」を確認してください。足場のレンタル期間が延びた分を請求されるのかどうかは、業者によって違います。
塗ってはいけない日に塗らないか
工期に追われると、雨上がりで壁が乾ききっていない日や、朝の結露が残っている時間帯に塗ってしまうことがあります。施工中に「今日は湿度が高いので中止します」と言ってくれる業者のほうが信頼できます。
中塗りと上塗りの色を変えてもらう
同じ仕様書には、次のような規定もあります。
中塗り及び上塗りの各層の色を変えること等により、中塗り及び上塗りが全面に均一に塗られていることを確認する。
(7.1.4 施工一般(9)より)
仕上がってしまうと、何回塗ったかは外から分かりません。中塗りと上塗りで色味を少し変えてもらえば、2回目を塗った範囲が目で確認できます。工期を急いで塗り回数を減らす、という手抜きの防止になります。
業者の予定が埋まる時期
条件のよい時期は依頼も集まりやすく、希望の日程で入れないことがあります。見積もりの段階で「いつなら着工できるか」を各社に聞いておくと、時期の判断がしやすくなります。
雨天時の扱いや着工できる時期は、業者ごとに答えが違います。複数社に同じ質問をして比べるのが確実です。
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まとめ
- 国の仕様書では、気温5℃以下・湿度85%以上・結露・降雨のおそれ・強風のときは外部の塗装を行わない
- 東京では9月の雨の日が梅雨の6月並みに多い。秋なら10月後半〜11月のほうが条件がよい
- 東京・大阪など温暖な地域の冬は、雨が少なく乾燥しているので塗装に向いた面がある(作業は日中に限られる)
- 札幌・仙台など寒冷地は冬の塗装が難しい。北海道は5〜9月が塗装の季節
- 月そのものより、雨天順延の扱い・塗ってはいけない日に塗らないか・中塗りと上塗りの色分けを確認するほうが大事
本記事の数値は、公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版と、気象庁の平年値(1991〜2020年)を2026年9月21日に確認したものです。

