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結論|気持ちと手続きを分ける。急ぐのは手続きのほうだけ
「実家を売却するのは寂しいですか」「悲しいですか」「辛いですか」。この言葉で検索している人がいちばん多く打ち込んでいるのは、税金でも手順でもなくこれです。
気持ちに期限はありません。期限があるのは手続きのほうだけです。そして期限のある手続きは、実際には3つしかありません。
- 相続登記|令和6年4月1日から義務化。相続を知った日から3年以内。施行前に相続した分は令和9年3月31日まで
- 相続した空き家の3,000万円控除|相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
- 親が生きているうちに売る場合の控除|住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日まで
この3つを押さえたら、あとは自分のペースで構いません。まずやることは「売る」と決めることではなく、名義と期限を確認することです。
家の中を空ける作業は、気持ちの整理と同時に進められます。量が決まれば費用は見積もりで出ます。
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「実家が空き家になったらどうする」|最も多い選択は売却ではない
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(確報集計、令和6年9月25日公表)で内訳を見ると、答えが出ています。空き家900万2千戸のうち、売却用として市場に出ているのは32万6千戸。賃貸用が443万6千戸で、そのどちらでもない「その他の空き家」が385万6千戸です。前回調査から36万9千戸増えています。
つまり実家が空き家になったとき、最も多い対処は売るでも貸すでもなく「そのまま持ち続ける」ことです。決めたから持っているというより、決められないまま時間が過ぎている家がこれだけあります。
この記事は「早く売るべきだ」とは書きません。ただ、持ち続けることにも期限と費用が付いているという事実は先に置いておきます。空き家としての維持費や税制の詳細は空き家の売却|3,000万円控除の期限は2027年12月31日にまとめました。
寂しい・悲しい・辛い(つらい)という気持ちについて
検索の最大の塊がここなので、ごまかさずに書きます。この気持ちは解決すべき問題ではありません。ただ、手続きと混ざると判断が止まります。混ざらないようにする方法は具体的にあります。
- 家の記録を先に取る。部屋ごとに写真や動画を撮っておくと、建物がなくなっても残ります。片付けを始める前にやるのがコツです
- 持ち出すものを先に決める。全部は持てません。「この棚から3つ」のように数で決めると進みます
- 形見分けを片付けより先にする。兄弟や親族に声をかけるのは、物がなくなってからでは遅くなります
- 仏壇・神棚・写真・手紙は別扱いにする。処分の手順が違い、気持ちの重さも違います
- 最後の日を決めて、家族で一度集まる。区切りを作ると、売却後の「後悔」が出にくくなります
「実家を売却して後悔するケースは?」という質問も多く出ています。よく挙がるのは急いで安く売った兄弟と相談せずに進めた形見分けの前に処分してしまったの3つですが、これらの頻度を調べた調査はこの記事では確認できませんでした。数字のある話ではなく、順番を間違えると取り返しがつかない項目だ、という形で読んでください。
売るタイミング|相続の前と後でどちらがいいか
「実家を売却するタイミングはいつですか」「相続の前と後でどちらがいいですか」「いつ売却するのが賢明ですか」。使える控除が変わるので、ここは先に確認します。
→ 横スクロールで3つのタイミングを比較できます
| 親の生前に売る | 相続後すぐ売る | 相続後に放置してから売る | |
|---|---|---|---|
| 誰が売るか | 親本人(委任も可) | 相続人(名義を移してから) | 相続人 |
| 使える可能性がある控除 | マイホームを売ったときの特例(最高3,000万円) | 空き家の特例(最高3,000万円。相続人3人以上は2,000万円) | 同左。期限を過ぎると控除なし |
| 期限 | 住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日 | — |
| 先に要る手続き | なし(親に判断能力があること) | 相続登記(令和9年3月31日の期限あり) | 相続登記 |
| 親の判断能力 | 失われると家庭裁判所の許可が必要 | — | — |
| 兄弟との調整 | 親の判断で進む | 相続人全員の合意が要る | 同じ。時間が経つほど難しくなる |
| 家財の片付け | 親と一緒にできる | 残された側がやる | 放置するほど量が増える |
| PR先にやること | 親と話す・片付けの見積もり | 名義の確認・片付けの見積もり | 【不用品回収】価格.com くらしサポート |
親が生きているうちに親自身が売る場合、国税庁の「マイホームを売ったときの特例」が使える可能性があります。要件は「住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る」こと、「親子や夫婦など『特別の関係がある人』に対して売ったものでないこと」、「売った年の前年および前々年にこの特例の適用を受けていないこと」などです(令和8年4月1日現在法令等)。施設に入ってから3年を超えると、この特例は使えなくなります。
相続してから子が売る場合は、別の制度である空き家特例の対象になり得ます。要件と期限は空き家の売却の記事に全部並べてあります。どちらが有利かは物件と家族構成で変わるので、税額の判断は税務署か税理士に確認してください。当サイトは税理士事務所ではありません。
親が認知症のとき、実家は売れるのか
「認知症の親が実家を売却することはできますか」「実家を勝手に売却できますか」。ここは法律がはっきり決めています。
まず、家の名義人は親です。子が名義人でない家を売ることはできません。親に判断能力がある間は、親本人が売るか、親から委任を受けて進めます。
判断能力が失われている場合は成年後見人を立てることになりますが、後見人が付いても自由に売れるわけではありません。民法第八百五十九条の三(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)はこう定めています。
「成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。」
つまり居住用の家は、後見人であっても家庭裁判所の許可なしには売れません。手続きに時間がかかるため、「売ると決めてから動く」のでは間に合わないことがあります。親が元気なうちに話をしておく意味はここにあります。進め方は生前整理は何から始める?にまとめています。
売る前に、いくらで売れそうかを把握しておくと、家族で話すときの材料になります。実家がマンションなら、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できます。
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相続せずに売却できるか、兄弟がいる場合はどうするか
「実家を相続せずに売却することはできますか」への答えは、できませんです。登記の名義が亡くなった方のままだと売買の登記ができないので、いったん相続人に名義を移す必要があります。売ったお金を分けたいだけであっても、先に相続登記をして、それから売るという順番になります(相続した財産を売って現金で分ける方法は換価分割と呼ばれます)。
「兄弟で実家を売却するにはどうしたらいいですか」。共有になっている家は、民法第二百五十一条(共有物の変更)が「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。」と定めています。条文は「変更」についての定めで、「売却には全員の同意が必要」と直接書いてあるわけではありませんが、家と土地そのものを売る行為は共有者全員で行うのが実務です。
自分の持分だけを売ることは単独でもできます。ただし持分だけを買う相手は限られ、価格も下がります。手順と金額の考え方は共有持分の売却の記事にまとめました。一人っ子で他に相続人がいない場合はこの問題が起きないので、手続きは単純になります。
相続登記には期限がある|令和9年3月31日
名義を移す手続きは、令和6年4月1日から義務になりました。法務省の案内では期限と罰則がこう書かれています。
- 「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に申請する
- 正当な理由なく申請しなかった場合は「10万円以下の過料」
- 施行日より前に相続した不動産も対象。期限は「令和9年3月31日まで」(知った日が令和6年4月以降の場合はその日から3年以内)
- 遺産分割が成立した場合は「遺産分割が成立した日から3年以内」に、その内容の登記も申請する
- 間に合わないときのために相続人申告登記という簡易な制度がある(ただし基本的義務の履行のみで、遺産分割成立後の義務には使えない)
何年も前に相続したまま名義を変えていない実家があるなら、令和9年3月31日が期限です。売る売らないにかかわらず、この手続きだけは先に進めてください。間に合わないときの相続人申告登記や過料までの流れは相続登記の義務化の記事にまとめました。
家財道具はどうするのか|丸ごと・そのまま売れるのか
検索では感情の次に大きい塊がここです。「実家を丸ごと売却するにはどうすればいいですか」「実家をそのまま売却できますか」「家財道具はどうすればいいですか」「片付けを依頼するといくらくらいかかりますか」。
答えを3つに分けます。
- 買取なら、家財を残したまま引き渡せる場合がある。業者が引き取り込みで買い取る形です。処分費を業者が負担する分、買取価格は下がります
- 仲介で一般の買主に売るなら、原則として空にして引き渡す。残すものがあるなら契約書に書いて合意しておきます
- どちらにしても、先に抜いておく物がある。これだけは片付け業者に任せず自分でやります
先に抜くものは次のとおりです。売買契約書や建築請負契約書は、売ったあとの税金の計算で取得費の根拠になります。捨ててしまうと戻せません。
- 売買契約書、建築請負契約書、領収書、登記費用の明細
- 登記識別情報(権利証)、固定資産税の納税通知書
- 遺言書、通帳、印鑑、保険証券、年金関係の書類
- 写真、アルバム、手紙(形見分けの対象になります)
- 仏壇・神棚(処分には別の手順があります)
「実家を売却するときの片付け費用はいくらですか」については、総額の公的な相場はありません。ただし処分費の部分は自治体の公表額で自分で積み上げられます。計算の手順は不用品回収の相場と遺品整理の費用にあります。頼む相手に一般廃棄物収集運搬業の許可があるかの確かめ方は遺品整理業者はどこまでしてくれるかです。
「実家がゴミ屋敷の場合、売却できますか」という質問もあります。売れないわけではありませんが、量が多い部屋を一人で始めるのは危険です。進め方はゴミ屋敷の片付けにまとめています。
残す物を抜いたあとの量で見積もりを取ると、引き渡しの日程が引けます。
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まずやること・手順
「実家を売却するときまずやることは?」「手順は?」「実家を売却したいのですが、どうすればいいですか」への答えです。順番を入れ替えると戻れなくなる工程があるので、そこを太字にしています。
- ①名義を確認する|登記事項証明書を取ります。亡くなった方のままなら相続登記が要ります
- ②相続人を確定し、全員で方針を共有する|ここを飛ばすと後で止まります
- ③家の記録を取り、形見分けをする|片付けの前です。順番が逆だと取り返せません
- ④取得費の書類を抜く|これも片付けの前です
- ⑤家財・残置物を片付ける
- ⑥複数の不動産会社に査定を依頼する|同じ条件で出します
- ⑦媒介契約 → 売却活動 → 売買契約 → 引き渡し
- ⑧翌年の確定申告
「実家を売却するのにどれくらいの期間がかかりますか」については、期間の公的な統計は確認できませんでした。動かせない要素は①②の手続き時間と、買主が見つかるまでの時間です。相続登記や相続人の合意に数か月かかることを見込んでください。
相場・平均価格はいくらか
「実家を売却する相場はいくらですか」「平均価格は?」。全国平均の数字を出すことはしません。立地と築年数で何倍も動くため、平均値を知っても自分の家の判断には使えないからです。
代わりに、自分の家の価格を知る手順はこうです。
- 国土交通省の不動産情報ライブラリや取引価格情報で、同じ地域の実際の成約価格を見る
- 固定資産税の納税通知書にある評価額を確認する(売値そのものではありませんが目安になります)
- そのうえで複数の不動産会社に査定を依頼する。1社だけだと高いのか安いのか分かりません
「実家を800万円で売却した時の税金はいくらですか」のように金額を決めた質問もありますが、税額は売値ではなく譲渡所得(売った金額から取得費と譲渡費用、特別控除を引いたもの)で決まります。同じ800万円でも、取得費がいくらかで税額は変わります。
税金・費用・確定申告は何がかかるか
「実家を売却すると税金はいくらかかりますか」「所得税は」「住民税は」「3000万円控除はいくらですか」。詳しい計算は空き家の売却の記事に置いてあるので、ここでは実家を売るときに出てくる項目だけ並べます。
- 譲渡所得にかかる所得税と住民税|売値ではなく利益にかかります。特別控除が使えれば大きく変わります
- 仲介手数料|仲介で売る場合
- 印紙税|売買契約書に貼ります
- 相続登記の費用|登録免許税と司法書士報酬
- 家財・残置物の処分費|自分で運ぶ分を増やせば減らせます
- 解体費用|更地にする場合。更地にすると固定資産税の住宅用地特例が外れる点に注意です
「実家を売却しても確定申告をしなくてもよい場合は?」「確定申告は不要なケースはある?」については、利益(譲渡所得)が出ていなければ申告は不要とされるのが原則です。ただし特別控除を使って税額をゼロにする場合は申告が必要です。控除は申告して初めて適用されます。自分がどちらに当たるかは、取得費が分かるかどうかで変わります。判断は税務署で確認してください。
「実家を売却するには住民票が必要?」。必要書類は売り方と使う特例で変わります。相続した家の空き家特例では、市区町村が発行する被相続人居住用家屋等確認書も要ります。書類の一覧は国税庁と市区町村、それに依頼する不動産会社に確認してください。この記事では網羅できていません。
売り出す前に確認する4つ|境界・ローン・遠方・売れないとき
上位の解説ページが共通で挙げている確認事項です。どれも後から出てくると日程が崩れます。
- 隣地との境界|確定測量図があるか確認します。無い場合、測量に数か月かかることがあります。古い家ほど境界が曖昧なことが多く、引き渡しの直前に発覚すると止まります
- 住宅ローンの残高|親の家にローンが残っていると、売却代金で完済して抵当権を抹消する必要があります。残高証明は金融機関に請求します
- 遠方にある場合|現地に何度も行けないなら、片付けと査定の日程をまとめます。立ち会いが要る工程(形見分け、現地査定、引き渡し)を先に洗い出して1〜2回の訪問に寄せると負担が減ります
- 売れないとき|価格の見直し、買取への切り替え、更地にする、賃貸に回す、空き家バンクに登録する、といった順で選択肢が残っています。ただし「必ず売れる方法」はありません。価格が付かない場合に何が使えるかは、物件の所在地の自治体にも相談してください
境界とローンの2つは、片付けを始めるより前に調べておける項目です。書類を探すついでに確認しておくと、売り出しの段階で止まりません。
注意点と、気をつけること
「実家を売却するときの注意点は?」「気をつけることは?」「デメリットは?」をまとめます。
- 形見分けと記録は片付けより先。やり直せない唯一の工程です
- 取得費の書類を捨てない。税額が変わります
- 兄弟に先に話す。金額が出てからだともめやすくなります
- 親が元気なうちに話しておく。判断能力が失われると家庭裁判所の許可が要ります
- 相続登記を先に済ませる。令和9年3月31日の期限があります
- 更地にするタイミングを相談してから決める。先に壊すと固定資産税が上がります
- デメリットは、売ると戻せないこと。賃貸に回す選択肢も一度は並べて比べてください
「実家を売却したいのですが、どこに相談すればよいですか」。相談先は内容で分かれます。名義と登記は法務局か司法書士、税金は税務署か税理士、もめている場合は弁護士、価格は不動産会社(複数社)、家財の処分は市区町村の許可を持つ業者です。
この記事で確認できなかったこと
- 実家売却の相場・平均価格|立地と築年数で動くため、意味のある全国平均はありません
- 売れるまでの期間の公的統計|見つかりませんでした
- 後悔するケースの頻度を調べた調査|確認できませんでした。順番の問題として書いています
- 譲渡所得の具体的な税率|国税庁で確認してください
- 売却に必要な書類の網羅的な一覧|売り方と特例で変わるため、この記事では扱えていません
- 成年後見の申立てにかかる期間|家庭裁判所に確認が必要です
- 片付け費用の総額の相場|処分費は公表額で計算できますが、作業費に公的な数字はありません
よくある質問
実家を売却するときの挨拶文はどう書けばいいですか?
近隣への挨拶は決まった形式があるものではありません。引き渡し前に、売却の予定と工事や搬出で音が出る日を伝えておくと、片付けと解体のときのトラブルが減ります。
松本明子さんの実家の売却額のような、著名人の事例を知りたいのですが。
著名人が実家を売却した金額のような個別の事例は、この記事では扱っていません。金額は物件ごとに違うため、他人の事例は自分の家の判断材料になりません。
親が実家のマンションを売却したら税金はいくらかかりますか?
譲渡所得にかかります。なお相続後に売る場合、分譲マンションは空き家特例の対象外です(要件に「区分所有建物登記がされている建物でないこと」があります)。
実家を売却したら固定資産税はどうなりますか?
引き渡した年の途中までは売主が納税義務者になるのが通常で、日割りで買主と精算する取引が多いです。精算の有無と方法は売買契約で決まります。
まとめ
- 気持ちに期限はない。期限があるのは手続きだけ。相続登記は令和9年3月31日、控除は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日
- 親が認知症になると、居住用の家は家庭裁判所の許可なしに売れない(民法第八百五十九条の三)
- 相続せずには売れない。名義を移してから売る
- 形見分けと記録、取得費の書類は片付けより先。ここだけはやり直せません
- 相場は平均では分からない。複数社に同じ条件で査定を出してもらう
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最後は金額です。残す物を抜いたあとの量と搬出経路を伝えて、総額と追加条件を書面で出してもらってください。
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