外壁塗装が値上がりしている理由|国が定める塗装工の労務単価は1年で5.9%上昇

塗装工の労務単価と外壁塗装の相場

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ネットで拾った相場表と、手元の見積もりが合わない。相場より高いから足元を見られているのか、それとも相場表のほうが古いのか。判断する材料が、国の統計にあります。

目次

結論:塗装工の人件費は、この1年で5.9%上がっている

国土交通省は毎年、建設工事の職種ごとに公共工事設計労務単価を決めて公表しています。令和8年3月から適用されている単価はこうです。

区分1日8時間あたりの単価対前年度
全職種の全国平均25,834円+4.5%
塗装工の全国平均31,400円+5.9%

塗装工は全職種の平均より水準が高く、上げ幅も大きい職種です。

外壁塗装の工事費は、その多くが人の手間です。足場を組む、洗う、下地を直す、3回塗る。材料費より人件費のほうが大きい構造になっています。その人件費の基準が1年で5.9%動いているなら、去年の相場表がそのまま当たるはずがありません。

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この単価はどうやって決まっているのか

感覚で決めた数字ではありません。国土交通省の資料によると、こういう調査です。

  • 令和7年10月に施工中の工事から無作為抽出
  • 対象は1件1,000万円以上の工事
  • 有効工事件数10,031件
  • 「有効標本について、所定労働時間内8時間当たりに換算し、都道府県別・職種別に集計」
  • 47都道府県・51職種別に単価を設定

1万件を超える実際の工事を調べて、都道府県ごと・職種ごとに出した数字です。

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「全国の相場」という数字が当てにならない理由

いま見たとおり、国は塗装工の単価を47都道府県別に定めています。国自身が、同じ職種でも地域で人件費が違うことを前提に制度を組んでいるわけです。

だから「外壁塗装の相場は〇〇万円」という全国一本の数字は、出発点にはなっても、自分の家の見積もりを判定する物差しにはなりません。地域が違えば、そもそも人件費の水準が違います。

自分の都道府県の塗装工の単価は、国土交通省の報道発表資料に都道府県別・職種別の表として載っています。この記事では表の数字を転記していません。読み取りの裏を取りきれなかったので、出典で直接見てください。

ただし、この単価をそのまま見積もりに当ててはいけない

ここは正確に押さえておく必要があります。国土交通省は単価の位置づけをこう書いています。

「公共工事設計労務単価は公共工事の工事費の積算に用いるためのものである」

民間の外壁塗装の見積もりに、この数字をそのまま掛け算するものではありません。さらに、国土交通省の解説ページには「本単価には、現場管理費(法定福利費(事業主負担分)、研修訓練等に要する費用等)及び一般管理費等の諸経費が含まれていないこと」とあります。会社を運営する費用が入っていない数字です。

一方で、同じ資料にはこうも書かれています。

「全ての建設工事の請負契約において確保されるべき『通常必要と認められる労務費(適正な労務費)』の計算の基礎となる水準としても…位置づけられており、公共工事・民間工事を問わず…この適正な労務費が確保されるべき」

つまり掛け算に使う数字ではないが、人件費の水準を考える土台にはなる、という位置づけです。

安い見積もりを見たときに、何を考えるか

相場より極端に安い見積もりが出てきたとき、確かめたいのは総額ではなく中身です。

  1. 人工(にんく)が減っていないか。3回塗るはずが2回になっていないか、下地処理の日数が入っているか
  2. 足場が抜けていないか。足場は法令で仕様が決まっていて、値切る対象ではありません(足場代の記事)
  3. 数量×単価で書かれているか。「一式」だけだと、何人が何日入るのかが見えません(見積書の見方)
  4. 他社の見積もりと、同じ条件で並べてあるか。塗る面積と塗料が違えば金額が違うのは当たり前です

安いこと自体が悪いわけではありません。ただ、人件費の水準が上がっている年に、去年より安い見積もりが出てきたら、どこを削ったのかは聞く価値があります。

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見積もりの中身を説明できるかどうかは、話してみると分かります。まず相談から入れる窓口もあります。

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相場表との正しい付き合い方

相場の数字が無駄なわけではありません。使い方の順番があります。

  1. 相場表で桁を確認する。30坪で総額何十万円の世界なのか、何百万円なのかを掴む(費用相場の記事)
  2. 2社以上から、同じ条件で見積もりを取る。ここで初めて自分の地域・自分の家の数字が出ます
  3. 2つを並べて、差がどこから来ているかを見る。面積か、塗料か、工程の回数か
  4. 迷ったら第三者に見てもらう。国土交通大臣指定の窓口で、建築士に無料で見てもらえます(見積チェックの記事)

相場表は1番目にしか使えません。2番目から先は、自分の見積もりでしか進められません。

よくある質問

労務単価が上がったら、来年はもっと高くなりますか

分かりません。この単価は毎年調査して決め直されるもので、将来の数字は公表されていません。確実に言えるのは、令和8年3月から適用されている塗装工の全国平均が31,400円で、前年度より5.9%高いという事実だけです。

自分の県の単価を見れば、見積もりの妥当性が分かりますか

そうはなりません。この単価は公共工事の積算用で、諸経費も含まれていない数字だからです。見積もりの妥当性は、2社以上を同じ条件で並べて判断するほうが確実です。

職人の人数は見積書に書いてありますか

書かれていない見積書は多いです。「一式」でまとめられていると分かりません。工程ごとの日数や人工を聞けば、答えられる業者は答えます。

急いでいないなら、単価が下がるまで待つべきですか

外壁塗装は劣化を止める工事なので、待っている間に下地の傷みが進むと、かえって費用が増えます。時期の考え方は時期の記事にまとめています。

まとめ

  • 国土交通省が定める令和8年3月適用の労務単価は、塗装工の全国平均が31,400円(前年度比+5.9%)
  • 全職種の全国平均は25,834円(+4.5%)で、塗装工は水準も上げ幅も上
  • 令和7年10月に施工中の1件1,000万円以上の工事、有効10,031件を調べて、47都道府県・51職種別に設定されている
  • この単価は「公共工事の工事費の積算に用いるためのもの」で、諸経費も含まれていない。見積もりに直接掛けるものではない
  • ただし民間工事も含めて「適正な労務費」の計算の基礎となる水準と位置づけられている
  • 人件費の基準が1年で5.9%動く以上、去年の相場表はそのままでは当たらない
  • 相場表は桁の確認まで。そこから先は2社以上の見積もりを同じ条件で並べる
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