屋根カバー工法の費用相場|30坪・50坪の目安と失敗するケース、何年もつか

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目次

結論:30坪で60〜110万円。ただし費用より先に「できるかどうか」が決まる

屋根カバー工法(重ね葺き)は、今ある屋根を撤去せず、その上に新しい屋根材をかぶせる工事です。撤去と廃材処分がない分、葺き替えより安く、工期も短く収まります。

ただしどの屋根にもできる工事ではありません。雨漏りしている、下地(野地板)が傷んでいる、瓦屋根である、すでに一度カバーしている。このどれかに当てはまると選べません。費用を調べる前に、ここが先に決まります。

この記事では坪数別の費用相場、失敗するケース、何年もつかに加えて、国土交通省が令和6年2月8日付けの通達で示した「カバー工法は大規模の修繕に該当しない」という扱いと、屋根がどれだけ重くなるかのメーカー公表値まで扱います。

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カバー工法ができる屋根かどうかは、上がって下地を見れば分かります。まず現地を見てもらうところからです。

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坪数別の費用相場|30坪・40坪・50坪と坪単価

屋根カバー工法の費用は、延床坪数ではなく屋根の面積で決まります。まず面積を出し、そこに材工の平米単価を掛け、足場を足す。この順番で計算します。

計算の内訳

  • 屋根材+防水紙(ルーフィング)+施工の平米単価:7,000〜12,000円/㎡(屋根材のグレードで動く)
  • 足場:15〜25万円(屋根だけの工事でも足場は必要)
  • 棟板金の撤去・貫板の交換・役物:5〜10万円

屋根面積の目安は、2階建てなら1階の床面積に軒の出を足し、屋根勾配の分を掛けたものです。延床30坪の総2階なら、およそ60〜70㎡になります。

延床坪数屋根面積の目安費用の目安
20坪約40〜50㎡45〜85万円
30坪約60〜70㎡60〜110万円
40坪約80〜95㎡75〜140万円
50坪約100〜120㎡90〜175万円

坪単価にすると、およそ2万〜4万円/坪です。ただし坪単価は家が小さいほど上がります。足場の費用は屋根面積に比例しないため、20坪の家では総額に占める足場の割合が大きくなるからです。坪単価だけで比べると小さい家が割高に見えますが、それは計算の仕組みによるものです。

50坪の家で「屋根カバー工法にいくらかかるか」を調べている場合、90〜175万円が目安で、200万円を超える見積もりが出たら内訳を確認するという見方になります。屋根材を石粒付きの高耐久品にした、屋根の形が複雑で役物が多い、急勾配で屋根足場が別途要る、といった理由があれば超えることもあります。理由が説明できない場合は、その場で決めずに他社の見積もりと並べてください。

なお、修繕費として実際に支払う総額は、同じ工事でも足場を外壁塗装と共用できるかどうかで20万円前後変わります。屋根と外壁の時期が近いなら、屋根塗装の相場もあわせて確認しておくと、足場を二度組まずに済みます。

屋根カバー工法ができない屋根|4つの条件

上位の相談で最も多いのがこれです。次の4つのどれかに当てはまると、カバー工法は選べません。

①雨漏りしている、または下地(野地板)が傷んでいる

カバー工法は既存の屋根を撤去しないため、下地の状態を直接見ることも直すこともできません。雨漏りしている屋根にかぶせても水の通り道は残ります。踏むと沈む、小屋裏に雨染みがある、といった状態なら葺き替えになります。

②瓦屋根(日本瓦・セメント瓦)

瓦は凹凸が大きく、上に新しい屋根材を平らに固定できません。また元々が重いため、さらに重ねると建物への負担が増えます。瓦からの工事は葺き替えが基本です。

③すでに一度カバー工法をしている

カバー工法は一度しか使えません。二重になった屋根にもう一枚重ねると、固定用の釘やビスが下地まで届かなくなります。築年数が古い家では、前の所有者が施工済みの場合があるので確認が必要です。

④屋根材が反っている・踏むと割れる

屋根材が波打つほど反っていると、新しい屋根材が密着せず浮きます。カバー工法は「屋根材は劣化しているが、平らさと下地は保たれている」状態に向いた工事です。

できない場合はどうすればいいか

葺き替えに切り替えます。費用は上がりますが、下地から直せるため、雨漏りや下地の腐食はこちらでないと解決しません。金額の目安と検算のしかたは屋根の葺き替え費用にまとめています。雨漏りが出ている場合は、工法を決める前に原因調査が先です(雨漏り修理はどこに頼む?)。

屋根カバー工法が失敗するケース5つ

「失敗」で検索されている内容は、工事そのものより判断の順番を飛ばしたことに集中しています。

  1. 下地を確認せずにかぶせた。屋根に上がらず、地上からの目視や写真だけで決めた場合に起きます。数年後に雨漏りが出ても、原因を見るには結局はがすことになります。
  2. 換気を塞いだ。屋根が二重になると、小屋裏の湿気が抜けにくくなります。棟換気を残す・新設する処理をしないと、結露で野地板が腐ります。
  3. 防水紙(ルーフィング)を安いものにした。実際に雨を止めているのは屋根材ではなく、その下の防水紙です。ここを削った見積もりは総額が安く見えます。
  4. 重量を確認せずに決めた。次の章で数値を出しますが、既存のスレートは残ったままです。
  5. 石綿(アスベスト)の問題を先送りにした。2006年より前のスレートには石綿を含むものがあります。かぶせれば今は触らずに済みますが、将来の葺き替え時に除去費用がかかります(石綿の事前調査)。

この5つはいずれも、契約前に「屋根に上がって下地と換気をどう確認しましたか」と一言聞くだけで、判断しているかどうかが分かります。

屋根カバー工法は何年もつか|メーカーの保証年数で見る

「何年くらい持ちますか」「何年くらい使えますか」という質問には、下のスレートではなく、上にかぶせた新しい屋根材の耐用年数で決まると答えるのが正確です。下の屋根材はもう雨を受けていないため、その寿命は関係がなくなります。

では上の屋根材は何年もつのか。カバー工法でよく使われる金属屋根材のひとつ、アイジー工業のスーパーガルテクトは、公式サイトで保証年数をこう公表しています。

  • 塗膜:15年保証
  • 赤さび:20年保証
  • 穴あき:25年保証

つまりメーカーが約束しているのは「25年で穴があかない」ところまでで、「30年もちます」とは言っていません。同じ製品の仕様は重量5.0kg/㎡、厚さ最大16mm、素材は超高耐久ガルバ、表面は遮熱性ポリエステル樹脂塗装と公表されています。

数字を出す業者に会ったら、「それはメーカー保証ですか、御社の自社保証ですか」と分けて聞いてください。両者は別物で、自社保証は会社が続いている限りという条件が付きます。

屋根材より先に傷む場所がある

屋根材が25年もっても、棟板金とその下の貫板(ぬきいた)は10年前後で点検が要ります。強風で棟板金の釘が浮くのは、カバー工法の後でも起きます。近年は貫板を木材から樹脂製に替える施工が増えており、見積もりに樹脂製と書かれていればそこは腐りません。

一度カバーしたら、次は葺き替えになる

カバー工法は繰り返せません。今回の工事は「次の工事までの時間を買う」もので、その次は葺き替えという前提で考えてください。今60代で、あと20年住むつもりならカバー工法で足ります。まだ40代なら、一生のうち葺き替えが1回来る計算になります。

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保証年数は屋根材の製品ごとに違います。どの製品を提案されるかは会社によって変わるので、見積もりを並べて比べてください。

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確認申請は必要か|国が「大規模の修繕に該当しない」と示している

2025年4月(令和7年4月1日)施行の改正建築基準法で、これまで確認申請が不要だった木造2階建て住宅も、大規模の修繕・模様替をするときは建築確認が必要になりました。では屋根カバー工法はこれに当たるのか。ここを書いている屋根業者のページはほとんどありません。

まず条文を見る

建築基準法第2条は、主要構造部を「壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。」(第五号)と定義しています。屋根は主要構造部に含まれます。

そのうえで大規模の修繕を「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。」(第十四号)、大規模の模様替を「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。」(第十五号)と定めています。条文だけを読むと、屋根の工事は該当しそうに見えます。

国土交通省の通達が、カバー工法を明示的に外している

この点について国土交通省住宅局建築指導課は、令和6年2月8日付け 国住指第355号「屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて」で次のように示しています。

既存の屋根の上に新しい屋根をかぶせるようないわゆるカバー工法による改修は、法第2条第14号に規定する大規模の修繕及び同条第15号に規定する大規模の模様替には該当しないものと取り扱って差支えない。

同じ通達は、「屋根ふき材のみの改修を行う行為は、法第2条第14号に規定する大規模の修繕及び同条第15号に規定する大規模の模様替には該当しないものと取り扱って差支えない。」とも述べています。

国土交通省住宅局がまとめた「リフォームにおける建築確認要否の解説事例集」でも、木造戸建てのリフォーム事例として「カバー工法による改修の場合は建築確認が不要」と整理され、一方で「改修範囲が垂木にまで及ぶような改修で、改修面積が総水平投影面積に占める割合で過半となる場合は建築確認が必要」とされています。

この違いが、工法選びに効いてくる

つまりカバー工法は確認申請が不要、葺き替えは垂木まで手を入れて過半になると確認申請が必要になり得る、という差があります。確認申請が入ると、設計費・申請手数料と1か月前後の期間が追加されます。葺き替えの見積もりに申請費用が入っていない場合、工事範囲が垂木に及ばない前提なのかを確認してください。

ただし個別の家がどちらに当たるかは、工事範囲を見た判断になります。当サイトから「あなたの家は不要です」とは言えません。施工会社に「この工事に建築確認は必要ですか。不要ならその根拠を教えてください」と聞き、答えられない場合は市区町村の建築指導課に電話で確認してください。相談は無料です。

屋根はどれだけ重くなるか|メーカー公表値で計算する

カバー工法のデメリットとして必ず挙がるのが「屋根が重くなる」です。ところが具体的に何kg増えるのかを書いているページは見当たりません。メーカーの公表値で計算できます。

ケイミューのスレート屋根材コロニアルグラッサは、公式仕様で葺きあがり3.3㎡当たり約68kg(1枚 約3.4kg、厚さ5.2mm)。1㎡あたりに直すと約20.6kgです。上にかぶせるアイジー工業のスーパーガルテクトは5.0kg/㎡。この2つを足したものが、工事後の屋根の重さになります。

屋根材重量
今のスレート屋根約20.6kg/㎡
かぶせる金属屋根材5.0kg/㎡
カバー工法の後(合計)約25.6kg/㎡

延床30坪の家で屋根面積を70㎡とすると、次のようになります。

  • 今のスレート屋根:20.6kg/㎡ × 70㎡ = 約1,442kg
  • カバー工法の後:25.6kg/㎡ × 70㎡ = 約1,792kg(約350kg増)
  • 葺き替えで金属屋根にした場合:5.0kg/㎡ × 70㎡ = 約350kg(約1,090kg減)

増える350kgは、大人5人分ほどです。これを「わずか」と見るか「無視できない」と見るかは、建物の耐震性に余裕があるかで変わります。重さは屋根の高い位置に載るため、地震のときの揺れへの影響は床に同じ重量を置く場合より大きくなります。

判断の分かれ目ははっきりしています。耐震性を上げたいなら、カバー工法ではなく葺き替えです。カバー工法は約350kg増やす工事で、葺き替えは約1,090kg減らす工事だからです。1981年より前の建築で耐震に不安がある家は、費用が上がってもここは葺き替えを検討する場面になります。

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自分の家の屋根面積が分かれば、増える重さもその場で計算できます。まず現地を見てもらってください。

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ダイワハウス・積水ハウスなどハウスメーカーの家はどうなるか

ハウスメーカーで建てた家でも、カバー工法ができるかどうかを決める条件は一般の住宅と同じです。屋根材の種類、下地の状態、すでにカバー済みかどうか。この3点で決まります。

ただし依頼先には、一般の住宅と違う点が2つあります。

①屋根材が自社専用品の場合がある

ハウスメーカーは自社仕様の屋根材を使っていることがあります。同じ製品が今も供給されているとは限らないため、既存屋根の品番が分かる資料(引き渡し時の仕様書)を探しておくと話が早くなります。カバー工法は上に新しい屋根材をかぶせる工事なので、既存品の廃番自体は支障になりません。

②建てたメーカー系のリフォーム会社は、その家の図面を持っている

自社で建てた住宅であれば、小屋組みや下地の構造が図面で分かります。屋根に上がる前から下地の仕様が分かるのは利点です。一方で、屋根工事を専門にする地元の会社に依頼することもできます。建てたメーカーに頼まないと保証が切れるのかどうかは、住宅の保証書に書かれている条件を先に読んでください。構造や防水の長期保証は、定期点検と有償メンテナンスを自社で受けることを条件にしている場合があります。

費用については、ダイワハウスや積水ハウスの公式サイトで屋根カバー工法の工法別価格が公開されているのを、この記事の調査では確認できませんでした。公表されていない以上、相場として書くことができません。確かめる方法は次のとおりです。

  • 建てたメーカーのリフォーム窓口に「屋根のカバー工法はメニューにありますか。うちの屋根材で可能ですか」と電話で聞く
  • 同時に、地元の屋根工事会社にも現地を見てもらい、金額と工法の見立てを並べる
  • 保証書を開き、他社で屋根工事をした場合に長期保証がどうなるかの条項を確認する

この3つを踏んでから決めれば、金額だけで選んで保証を失う事態は避けられます。

屋根塗装・葺き替えとどちらがよいか

「カバー工法と塗装、どちらが良いですか」という質問には、屋根の状態で決まるので費用では選べないと答えるのが正確です。

工法向いている状態費用の目安
屋根塗装色あせ・コケだけ28〜52万円
カバー工法屋根材は劣化、下地は無事60〜110万円
葺き替え雨漏り・下地の傷み90〜130万円〜

塗装が有利に見えるのは金額だけです。屋根材そのものが反っていたり割れていたりする状態で塗っても、表面が塗料で覆われるだけで、割れは直りません。逆に、まだ使える屋根にカバー工法をかければ必要のない支出になります。

3つの工法の費用差と「300万円は妥当か」の検算方法は屋根の葺き替え費用に、外壁側の同じ論点は外壁カバー工法の失敗と後悔にまとめています。

PRカバー工法でよいのか葺き替えなのかは、屋根に上がって下地を見ないと決まりません。現地を見てもらう入り口は3つあります。(一括見積もりサイト比較)

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工事の手順と日数|スレート屋根の場合

スレート屋根に金属屋根材をかぶせる場合の施工手順です。見積書の項目とほぼ対応するので、抜けがないか照らし合わせてください。

  1. 足場の組み立て(屋根だけの工事でも必要)
  2. 既存の棟板金と貫板の撤去。ここだけは撤去する
  3. 清掃と下地の確認。踏んで沈む箇所がないかを見る
  4. 防水紙(ルーフィング)の敷設。実際に雨を止めているのはここ
  5. 新しい屋根材の設置。軒先から棟に向かって葺き上げる
  6. 貫板の設置。樹脂製なら腐らない
  7. 棟板金の設置
  8. コーキング処理。板金の合わせ目を止水する
  9. 足場の解体

日数は足場の組み立てから解体まで5〜10日が目安です。屋根の面積、形の複雑さ、天候で動きます。屋根の上だけの作業なので、工事中も普段どおり在宅して生活できます。断水や停電もありません。

折半屋根(工場・倉庫・カーポートに使われる山形の金属屋根)も同じ考え方でカバー工法ができますが、住宅とは単価の出し方が違います。折半屋根は屋根面積が大きく、勾配が緩く、足場ではなく高所作業車を使うことがあるため、平米単価は住宅より下がる一方で総額は面積で跳ね上がります。工場の屋根を検討している場合は、住宅の坪数別の相場をそのまま当てはめないでください。

雨の日でも施工できるか

答えは工程によって分かれます。

  • 足場の組み立て・解体、棟板金の撤去:小雨なら進むことがある
  • 防水紙の敷設、屋根材の設置:雨天は中止が基本

理由は安全だけではありません。既存の屋根が濡れた状態で防水紙をかぶせると、水分を閉じ込めたまま屋根が二重になり、乾く経路がなくなります。カバー工法は下地を後から確認できない工事なので、ここで妥協すると取り返しがつきません。

「雨でも工事します」と言う会社があれば、どの工程を雨の日に行うつもりなのかを確認してください。撤去や足場までなら問題はありません。梅雨や台風の時期に着工すると、雨待ちで工期が2週間近くまで延びることがあります。足場の設置期間が延びても追加費用が出ないか、契約前に決めておくと安心です。

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着工できる時期や工期の見込みも、会社によって答えが変わります。屋根の状態とあわせて、まとめて聞いて比べてください。

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火災保険は適用されるか

台風や雹(ひょう)、大雪など自然災害で屋根が壊れた場合に限り、対象になり得ます。経年劣化は対象外です。ここを混同した勧誘が多い分野なので、順番を間違えないでください。

  • 壊れた原因が風災・雹災・雪災であること
  • 被害から3年以内の請求であること(保険法の時効)
  • 申請するのは契約者本人。業者が代行する契約を結ぶ前に、手数料の割合を確認する

注意したいのは、火災保険が下りるのは「壊れた部分を直す費用」であって、屋根全体をカバー工法でやり直す費用ではないという点です。棟板金が飛んだ被害で、屋根全面のカバー工法の全額が下りることは通常ありません。適用条件と申請の手順は外壁塗装に火災保険は使える?にまとめています。

補助金はもらえるか|対象は「断熱改修」であってカバー工法ではない

国の制度としてはみらいエコ住宅2026事業があります。ここで押さえておきたいのは、補助されるのはカバー工法という工事ではなく、断熱材を使った断熱改修だという点です。

同事業の「躯体の断熱改修」は「外壁、屋根・天井又は床の部位ごとに、一定の使用量以上の断熱材を使用する断熱改修」と定義され、屋根・天井が対象部位に含まれています。屋根・天井の補助額は公表資料で次のとおりです。

断熱性能の区分屋根・天井の補助額
断熱性能F44,000円/㎥
断熱性能E30,000円/㎥
断熱性能D15,000円/㎥
その他の性能13,000円/㎥

補助額の単位が㎥(立方メートル)である点に注意してください。面積ではなく、使った断熱材の体積で決まります。工事着手は令和7年11月28日以降、交付申請は令和8年6月末までとされ、補助額の上限は住宅の新築年に応じて80万〜100万円です。予算上限に達し次第終了します。

したがって、断熱材の入っていない金属屋根材で単にかぶせるだけの工事は、この補助の対象になりません。断熱材付きの屋根材を使い、規定の使用量を満たして初めて対象になり得ます。見積もりを取るときは「この工事はみらいエコ住宅2026事業の躯体の断熱改修に該当しますか」と、事業名を出して聞いてください。自治体独自の制度は別にあるので、補助金の調べ方もあわせて確認してください。

修繕費として経費にできるか

まず前提として、自宅(居住用)の屋根工事は経費になりません。この質問が意味を持つのは、賃貸に出している物件や事業用の建物の場合です。

国税庁は、支出を修繕費として一括で経費にできるか、資本的支出として減価償却するかの判定について、次の基準を示しています(令和8年4月1日現在法令等)。

  • 「おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良などであるとき、または一つの修理、改良などの金額が20万円未満のとき」は修繕費として扱える
  • 「一つの修理、改良などの金額のうちに資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある場合で、その金額が60万円未満のときまたはその資産の前年末の取得価額のおおむね10パーセント相当額以下であるとき」も修繕費として扱える

屋根カバー工法は多くの場合60万円を超えます。その場合は金額基準では自動的に修繕費にならず、工事の内容で判定することになります。国税庁は資本的支出の例として「建物への物理的付加」「用途変更のための改造・改装」「機械部品の特に品質・性能の高いものへの取替えで、通常の取替え金額を超える部分」を挙げています。

既存の屋根の上に新しい屋根材を足す工事が「物理的付加」に当たるかどうかは判断が分かれる論点です。金額が大きいので、申告前に税理士か所轄の税務署に工事内容を示して確認してください。当サイトは税務の判定を行う立場になく、ここで結論を示すことはできません。

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屋根材の選び方まで含めて提案が分かれます。1社の見立てだけで決めず、複数社の提案を並べてください。

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屋根材の種類|ガルバリウム鋼板・石粒付き・アスファルトシングル

カバー工法で上にかぶせる屋根材は、軽いことが条件になります。主に次の3種類です。

種類特徴向いている人
ガルバリウム鋼板最も軽い5.0kg/㎡前後軽さと費用を優先
石粒付き金属屋根雨音が出にくい雨音が気になる
アスファルトシングル曲面に施工できる屋根の形が複雑

アスファルトシングルの屋根カバー工法は、軽くて曲げられるため複雑な屋根に向く一方、強風ではがれた事例が報告される材料でもあります。台風が多い地域では、施工方法(釘打ちか接着か)と実績を確認してください。

金属屋根は雨音が響くと言われますが、これは断熱材が裏打ちされているかどうかで大きく変わります。カタログで「断熱材一体型」と書かれている製品を選ぶと、雨音と夏の暑さの両方に効きます。

おすすめメーカー・ランキングをどう見るか

「屋根カバー工法ランキング」「おすすめメーカー」で探している場合、注意したい点があります。全国一律のランキングは、あなたの屋根には当てはまりません。カバー工法の結果を決めるのは製品の順位ではなく、下地の見立てと施工の丁寧さだからです。

比べるなら、製品ではなく次の3点を見てください。

  • その屋根材を、その会社が実際に施工した事例があるか(写真ではなく住所と時期つきで)
  • メーカーの認定施工店になっているか。製品によっては認定店でないとメーカー保証が付かない
  • 防水紙に何を使うか。ここを明記しない見積もりは比較できない

屋根材メーカーとしてはアイジー工業、ニチハ、ケイミューなどが知られています。カタログの保証年数は製品ごとに違うので、「この製品の保証は塗膜何年、穴あき何年ですか」とメーカーの公表値で確認してください。

断熱には有効か

屋根が二重になるため、何もしないよりは断熱性と遮音性が上がります。ただし効果の大きさは屋根材によって変わります。

  • 断熱材が一体になった金属屋根材:夏の小屋裏の温度上昇と雨音の両方に効く
  • 断熱材なしの薄い金属屋根材:空気層は増えるが、体感できるほどの差にはなりにくい

「断熱のために屋根カバー工法をする」という判断は、費用対効果としては勧めにくいのが正直なところです。断熱を目的にするなら、小屋裏に断熱材を敷き込むほうが安く済みます。屋根材の更新が必要な時期に来ていて、ついでに断熱も取れるという順番なら合理的です。

見積書で確認する6点

  1. 防水紙(ルーフィング)の製品名が書かれているか。「ルーフィング一式」だけでは比較できない
  2. 貫板が樹脂製か木製か。樹脂製なら腐らず、棟板金が浮きにくい
  3. 棟換気の処理。既存の換気を残すのか、新設するのか
  4. 屋根材の製品名と保証年数。メーカー保証か自社保証かの区別
  5. 足場の設置期間と、雨で延びた場合の追加費用の有無
  6. 既存屋根の下地確認をどうやって行ったか。屋根に上がったのか、地上からか

この6点が書かれていない見積書は、金額が安く見えても他社と比べられません。書式の読み方は見積書の見方と見積書のチェックにまとめています。会社の選び方は業者の選び方を参照してください。

この記事で確認できなかったこと

  • ダイワハウス・積水ハウスの屋根カバー工法の公式価格。両社のリフォーム窓口の公開情報からは工法別の金額を確認できませんでした(積水ハウスリフォームの公式サイトはこの調査時点で取得できませんでした)。記事では相場として書かず、電話で確認する手順を示しています
  • カバー工法後の建物全体の耐震性能の変化。重量の増加分は公表値から計算できますが、それが個々の家の耐震等級にどう影響するかは、建物ごとの構造計算が必要です。当サイトでは計算できません
  • 折半屋根・工場屋根の平米単価の実数。住宅と条件が違いすぎるため、住宅の相場を流用せず、考え方だけを示しています

よくある質問

屋根カバー工法は何年くらい持ちますか?

上にかぶせた新しい屋根材の耐用年数で決まります。金属屋根材の例では、メーカー公表の保証が塗膜15年・赤さび20年・穴あき25年です。ただし棟板金と貫板は10年前後で点検が必要です。

屋根カバー工法ができない場合、どうすればいいですか?

葺き替えになります。雨漏りや下地の腐食は、既存屋根を撤去しないと直せません。費用は上がりますが、下地から手を入れられます。

屋根カバー工法は雨の日でも作業できますか?

足場の組み立てや棟板金の撤去は小雨でも進むことがありますが、防水紙の敷設と屋根材の設置は雨天中止が基本です。濡れた屋根を覆うと、水分が抜けなくなります。

屋根カバー工法で火災保険は適用されますか?

台風・雹・大雪などの自然災害で壊れた場合に限り対象になり得ます。経年劣化は対象外で、下りるのは壊れた部分の修理費です。屋根全面の工事費が全額下りることは通常ありません。

屋根カバー工法は断熱に有効ですか?

屋根が二重になる分、何もしないよりは上がります。ただし断熱材が一体になった屋根材かどうかで差が大きく、断熱だけが目的なら小屋裏の断熱材のほうが安く済みます。

屋根カバー工法は修繕費として経費計上できますか?

自宅は経費になりません。賃貸・事業用の物件で、国税庁の示す金額基準(20万円未満、または不明な場合の60万円未満など)を超える場合は、工事内容での判定になります。税理士か税務署に確認してください。

屋根カバー工法は何日かかりますか?

足場の組み立てから解体まで5〜10日が目安です。雨が続くと2週間近くまで延びることがあります。

屋根カバー工法のおすすめメーカーは?

全国一律のおすすめはありません。その屋根材の施工実績がその会社にあるか、メーカー認定施工店か、防水紙に何を使うかの3点で比べてください。

まとめ

  • 費用の目安は30坪で60〜110万円、50坪で90〜175万円。坪単価は2万〜4万円で、小さい家ほど上がる
  • 雨漏り・下地の腐食・瓦屋根・カバー済みのどれかに当てはまるとできない。費用より先にここが決まる
  • 何年もつかは上の屋根材次第。金属屋根材の公表保証は塗膜15年・赤さび20年・穴あき25年
  • 国土交通省は令和6年2月8日付け通達で、カバー工法は大規模の修繕・模様替に該当しないと示している。確認申請は不要
  • 屋根は約350kg重くなる(30坪・70㎡の場合)。耐震性を上げたいなら葺き替え
  • 補助の対象は断熱改修であって、カバー工法そのものではない
  • 一度カバーしたら、次は葺き替え
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カバー工法でよいのか、葺き替えになるのか。この判断は屋根に上がった人にしかできません。複数の見立てを並べるところから始めてください。

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