蟻道とは|巣ではなく通り道。崩すと薬を入れる場所の目印が消える

蟻道はシロアリの通り道。見つけても崩さない

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目次

結論|蟻道は巣ではなく通り道。崩す前に写真を撮る

蟻道(ぎどう)は、シロアリが土と排せつ物を唾液で固めて作るトンネルです。巣ではありません。巣と餌場を往復するための通路で、基礎のコンクリートや束石の表面を這うように伸びます。

見つけたときにやってはいけないのは、その場で崩すことです。理由は「崩すと別の経路を作られるから」だけではありません。業界の標準仕様書が、蟻道を薬剤処理の目印として扱っているからです。崩すと、どこを入念に処理すべきかが分からなくなります。

  • 蟻道とは|シロアリが作る土のトンネル。読み方は「ぎどう」
  • なぜ作るか|乾燥と光に耐えられないため、外気に触れずに移動する必要がある
  • 見つけたら|崩さずに写真を撮る。場所が分かるように引きで1枚、近くで1枚
  • 崩さない理由|標準仕様書が「蟻道を構築している箇所」を入念に処理すると定めている
  • 注意|蟻道がなくてもシロアリがいることがある。蟻道を作らない種類がいる
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蟻道が本物かどうか、どこから上がっているかは、床下に入って見ないと分かりません。写真を撮ったら、状態を見てもらうところから始めてください。

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蟻道とは何か|読み方は「ぎどう」

蟻道は「ぎどう」と読みます。シロアリが移動のために作る管状の構造物で、材料は土、木くず、排せつ物、そして唾液です。これらを混ぜて固めるため、乾くと指で押しても簡単には崩れません。

東京都保健医療局が公開している資料(2026年9月10日更新)は、日本全国に広く分布するヤマトシロアリについてこう書いています。

移動するために、「蟻道」と呼ばれる通路を作ります。

「通路」であって「巣」ではない、という点が重要です。蟻道を崩してもシロアリは駆除できません。通路を1本壊しただけで、巣はどこかに残っています。

シロアリはなぜ蟻道を作るのか|乾燥と光に耐えられないから

理由は単純で、外気にさらされると死ぬからです。住宅に被害を出すシロアリは体が柔らかく、表面を覆う膜が薄いため、乾いた空気の中では短時間で体の水分を失います。光も苦手です。

そのため地面の中や木材の内部を通り、どうしても表面を移動しなければならないときだけ、自分で湿度の保たれたトンネルを作ります。これが蟻道です。

ヤマトシロアリとイエシロアリでは、水をどう確保するかが違います。東京都の資料は両者をこう書き分けています。

(ヤマトシロアリは)水を運ぶ能力がないため、常に湿った環境を必要とします。

(イエシロアリは)水を運ぶ能力があり、木材を湿らせながら加害します。

水を運べないヤマトシロアリは、湿った場所から離れられません。だから蟻道も湿った場所から伸びます。蟻道の起点をたどると、水がある場所に行き着くのはこのためです。

蟻道ができる原因|家の側に何があると作られるか

蟻道は「シロアリがいる」だけではできません。地面と木材がつながる条件が揃ったときにできます。

条件具体的に
湿気がある床下の換気が悪い、雨漏り、水漏れ、結露
地面と木が近いウッドデッキの束、立てかけた古材、花壇の枠
餌がある床下の木材、段ボール、根株、庭の杭
通り道が残っている基礎のひび割れ、配管の隙間、打ち継ぎ目

東京都の資料も、ヤマトシロアリの生息場所について「床下が土の地面になっている木造の家屋など、通気性の悪い床下などに巣を作ります」と書いています。湿気を減らすことが、蟻道を作らせない方向の対策になります。

蟻道の特徴と見分け方|シロアリ以外も似たものを作る

床下で見つかる土の筋が、すべてシロアリの蟻道とは限りません。似たものを作る生き物が複数います。ここを間違えると、必要のない工事をすることになります。

シロアリの蟻道

  • 色は茶色から灰色。周囲の土の色に近い
  • 断面は半円形。基礎や木材の表面に貼り付いている
  • 硬い。指で押しても簡単には崩れない
  • 内側が湿っている
  • 少し崩すと、白っぽい虫が出てくることがある

クロアリの通り道

クロアリも土や木くずで覆いを作ることがあります。違いはもろさです。木くずが主体でつなぎが弱く、触ると崩れます。崩したときに出てくるのが黒っぽくて腰のくびれた虫なら、シロアリではありません。

ジグモ(地蜘蛛)の巣

基礎の立ち上がりに沿って垂直に伸びる袋状の巣で、見た目が蟻道に似ています。違いは質感です。糸でできているため白っぽく、ふわりとしていて、引っ張ると伸びます。土が固まった蟻道とは手触りが違います。

ドロバチの巣

泥で作られた塊です。蟻道のように細長く伸びず、こぶのように盛り上がります。中は空洞で、丸い穴が開いていることがあります。

見分けがつかないときは崩さずに写真を撮ってください。崩してしまうと、専門家が見ても判断できなくなります。

蟻道の幅は種類で違う|イエシロアリのほうが広い

東京都の資料は、イエシロアリの蟻道についてこう書いています。

一般的にヤマトシロアリよりも、幅の広い蟻道を作ります。

イエシロアリは巣の規模が大きく、水を運べるため活動範囲も広くなります。その分、通る数が多く、蟻道も太くなります。

ただし幅だけで種類を決めることはできません。同じ建物でも場所によって太さは変わります。種類を確定させるには虫そのものを見る必要があります。

なお、イエシロアリは「比較的低温に弱く、都内で見られることは稀です(島しょ部を除く)」と書かれています。温暖な地域に多い種類です。

ヤマトシロアリイエシロアリ
分布日本全国に広く分布温暖な地域が中心
水を運ぶできないできる
蟻道の幅細い広い
羽アリの時期4〜5月の雨上がりの昼間6〜7月の夕方から夜

羽アリの時期も違います。東京都の資料によると、ヤマトシロアリは「主に4~5月の雨上がりで、晴れた風のある日の昼間に飛翔」し、イエシロアリは「主に6月~7月頃の夕方に多く、夜間にも飛翔することがあります」。

蟻道ができやすい場所|床下で最初に見るところ

  1. 基礎の立ち上がりの内側|地面から土台へ最短で上がれる。まずここを一周見る
  2. 束石と床束|床を支える柱の根元。地面に接しているので起点になりやすい
  3. 配管のまわり|基礎を貫通している隙間から上がる
  4. 基礎の断熱材|断熱材とコンクリートの間を通られると外から見えない
  5. 掘りごたつ|床下に落ち込んだ構造で、湿気がたまりやすい
  6. 庭の杭や廃材|家の外。地面に刺さった木は巣に近い

床下点検口から入れるなら、懐中電灯を斜めから当ててください。正面から照らすと影が出ず、わずかな盛り上がりを見落とします。

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空中蟻道と外蟻道|宙に伸びるものがある

蟻道は必ずしも何かの表面に貼り付いているわけではありません。支えのない空中に、垂直に伸びるものがあります。これを空中蟻道と呼びます。床下で天井側(1階の床裏)から垂れ下がるように伸びていたり、束石から宙に向かって立ち上がっていたりします。

空中蟻道が出ているときは、すでに上の木材に到達していると考えたほうがよい状態です。通り道を作るだけの数が動いている、ということでもあります。

もう一つが外蟻道です。建物の外側、基礎の外面に作られます。外から見えるので発見しやすい一方、見つかった時点で基礎を回り込まれています。

標準仕様書は、通常は建物の外周を薬剤処理の対象にしませんが、外蟻道がある場合は例外を認めています。

建築物外周部基礎の外側部位に蟻道を構築しており、駆除のために蟻道の処理が必要な場合には、薬剤が外部へ流失しないような方法で、その部位を局所的・限定的に行う事ができる。

外蟻道は、処理の範囲が変わる理由になります。見積りを取るときは、外側の処理が含まれているかを確認してください。

蟻道は壊してもいいのか|仕様書が「目印」として扱っている

結論は壊さないです。理由を2つに分けます。

1. 壊しても駆除にならない

蟻道は通路であって巣ではありません。1本崩しても、巣は地面の中や木材の内部に残ります。数日で別の経路が作られます。市販の殺虫剤を吹きかけても、触れた個体が死ぬだけで巣には届きません。

2. 処理の目印が消える

こちらが本題です。公益社団法人日本しろあり対策協会の「防除施工標準仕様書」(令和7年10月版・令和7年10月1日発行)は、既存建築物の駆除についてこう定めています。

駆除では、蟻道を構築している箇所や被害部分に近い箇所には入念に処理する。

木材の処理についても、同じ書き方で繰り返されています。

駆除では、蟻道を構築している箇所や被害部分に近い箇所には認定薬剤で入念に処理する。

つまり蟻道は、どこを重点的に処理するかを決めるための情報として仕様書に書かれています。崩してしまうと、業者が来たときに「どこから上がっていたか」が分かりません。処理が薄くなる場所が出ます。

ベイト工法の事前調査でも、調査項目に「採餌蟻道、周辺の植生・材木・廃材等」が挙げられています。工法を問わず、蟻道は調査の対象です。

蟻道を見つけたらどうするか|手順

  1. 崩さない。触って確かめたくなるが、まず手を止める
  2. 写真を撮る。どこか分かるように引きで1枚、形が分かるように近くで1枚。日付が残る設定にしておく
  3. どこから伸びているか目で追う。地面から上がっているか、束石からか、配管からか
  4. ほかの場所も見る。1本見つかったら、基礎の立ち上がりを一周確認する
  5. 木材を叩く。蟻道の先にある土台や柱を軽く叩き、軽い音や空洞の感触がないか確かめる
  6. 専門業者に見てもらう。写真を見せて、床下に入って調べてもらう

どうしても確認したいときは、蟻道の末端を数センチだけ崩してください。中が空洞で何も出てこなければ、過去のもの(活動が止まっている)の可能性があります。白い虫が出てくれば活動中です。それでも、起点に近い部分は残しておいてください。

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蟻道の先の土台や柱が食われていた場合は、駆除とは別に補修の工事が必要になります。範囲が分かった段階で見積りを取れます。

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蟻道がなければシロアリはいないのか|作らない種類がいる

この種類は蟻道を作らない代わりに、羽アリで気づくことがあります。飛ぶ時期が5〜9月の日中とほかの種類とずれているので、見分け方は羽アリの記事にまとめました。

いいえ。蟻道を作らないシロアリがいます。アメリカカンザイシロアリです。

地面から上がってくるヤマトシロアリやイエシロアリと違い、乾いた木材の中で一生を過ごします。土を必要としないので蟻道を作りません。代わりに別のサインが出ます。東京都の資料はこう書いています。

軒下や窓周辺に砂粒状の糞がないか、定期的に点検をすることが重要です。

砂粒のような小さい粒が、木部の下にたまります。ざらざらした砂が落ちていて、掃除してもまた出てくるなら、上の木材の中にいる可能性があります。

蟻道が見つからないことは、シロアリがいない証明にはなりません。床下だけでなく、軒下や窓枠の下も見てください。

蟻道の成分は何か|蟻土との違い

蟻道は、土・木くず・排せつ物を唾液で固めたものです。これらを練り合わせた材料を蟻土(ぎど)と呼ぶことがあります。蟻道は蟻土で作られた構造物、という関係です。

ただし蟻土という語は、業界の標準仕様書には出てきません。今回確認した範囲では、仕様書に出てくるのは「蟻道」だけでした。配合の比率や成分分析の公的なデータも見つけられませんでした。

実務で意味があるのは成分そのものより硬さです。唾液が固まっているため、指で押しても簡単には崩れません。木くず主体で崩れやすいクロアリの通り道と、ここで見分けられます。

蟻道はどのくらいの速さで伸びるのか

伸びる速度を示した公的なデータは見つけられませんでした。上位のページには「100メートル以上に伸びることがある」という記述がありますが、出典が確認できなかったので採用していません。

分かっているのは、蟻道の長さが被害の大きさと一致しないことです。短い蟻道でも、その先の土台が広く食われていることがあります。長さではなく、先にある木材の状態を見てください。

ベタ基礎でも蟻道はできるのか

できます。床下全面がコンクリートでも、打ち継ぎ目・配管の貫通部・セパレーター金具の跡・水抜き穴・ひび割れが残っているからです。コンクリートの表面にも蟻道は貼り付きます。

ベタ基礎に残る6つの隙間と、玄関まわりが別扱いになる理由はベタ基礎とシロアリの記事にまとめています。

蟻道が見つかったあとの費用

蟻道が見つかった時点でやることは、駆除です。予防(被害が出る前の処理)とは見積りの中身が変わります。

予防駆除
きっかけ被害がない段階蟻道や被害を確認
作業の違い土壌と木部の処理穿孔注入や補修が加わる
税金対象外雑損控除の対象

駆除の単価と施工面積の数え方はシロアリ駆除の費用、5年ごとに続けた場合の総額はシロアリ予防の費用で扱っています。

この記事で確認できなかったこと

  • 蟻道が伸びる速度と最大の長さ|公的な資料を見つけられませんでした。上位ページにある「100メートル」の数字は出典を確認できなかったため使っていません
  • 蟻土の成分比率|土・木くず・排せつ物・唾液で構成されることは一致していますが、比率を示す公的データは見つかりませんでした。「蟻土」の語は標準仕様書にも出てきません
  • 蟻道の幅の具体的な数値|東京都の資料はイエシロアリのほうが「幅の広い蟻道を作る」としていますが、何ミリという数字は示されていません
  • ジグモ・ドロバチの巣の判別基準|公的な判別基準は見つけられず、質感と形状の違いとして書いています

どこに頼むかで見るものが違う

蟻道を見つけたあとにやることは「本物か確かめる」「駆除の見積りを取る」「食われた木材を直す」の3つに分かれます。いま自分がどの段階かで窓口が変わります。

蟻道を見つけたあとの3つの入口

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まだ本物かどうか分からない段階なら、床下を見てもらうところからです。蟻道でなければ、あとの2つは要りません。

よくある質問

蟻道はどうやって消せますか?

消すこと自体は水でふやかして落とせますが、消すのは駆除が終わってからにしてください。処理の目印になるので、業者が入る前に消すと重点的に処理すべき場所が分からなくなります。

蟻道に似たものは何ですか?

クロアリの通り道、ジグモ(地蜘蛛)の巣、ドロバチの巣です。もろいもの、白く糸でできたもの、こぶ状に盛り上がったものは、シロアリの蟻道ではありません。

シロアリと蟻道の違いは何ですか?

シロアリは虫、蟻道はその虫が作る構造物です。蟻道だけがあって虫がいないこともあります。

蟻道の種類は何がありますか?

できる場所で呼び分けます。基礎や束石の表面を伝うもの、支えのない空中に伸びる空中蟻道、建物の外側にできる外蟻道です。構造そのものは同じです。

蟻道があるのにシロアリがいないことはありますか?

あります。駆除済みか、活動が止まって移動したあとです。崩したときに中が空洞で虫が出てこなければ、その可能性があります。ただし別の場所で活動していることもあるので、床下全体を確認してください。

蟻道かどうかを確認する方法は?

硬さで判断します。指で押して簡単に崩れなければシロアリの蟻道の可能性が高く、ぼろぼろ崩れるならクロアリです。ただし確認のために崩すのは末端だけにしてください。

蟻道はどうやって見つけますか?

見つけるには、まず起点になりやすい場所から順に当たります。優先順位は、基礎の立ち上がりの内側 → 束石と床束 → 配管のまわり → 断熱材の継ぎ目 → 掘りごたつの順です。地面に近いほど起点になりやすいので、床下では下から目線を上げていきます。家の外なら、基礎の外面と庭の杭・廃材を見てください。

蟻道はどうやってチェックするのですか?

床下点検口から入り、基礎の立ち上がりを一周見ます。懐中電灯を斜めから当てると、わずかな盛り上がりが影で分かります。束石・配管のまわり・断熱材の継ぎ目も見てください。

蟻道を見つけたときの対処法は?

崩さず写真を撮り、起点をたどり、ほかの場所も確認してから専門業者に見てもらいます。市販の殺虫剤はかけないでください。

蟻道のないシロアリはいますか?

います。アメリカカンザイシロアリは乾いた木材の中で生活し、蟻道を作りません。軒下や窓まわりに砂粒状の糞が落ちていないか見てください。

まとめ

  • 蟻道(ぎどう)は巣ではなく通り道。土・木くず・排せつ物を唾液で固めた構造物
  • シロアリは乾燥と光に耐えられないため、外気に触れずに移動する手段として作る
  • 崩さない。標準仕様書が「蟻道を構築している箇所」を入念に処理すると定めており、崩すと処理の目印が消える
  • 硬さで見分ける。指で押して崩れなければシロアリ、ぼろぼろ崩れるならクロアリ。白く糸状ならジグモの巣
  • イエシロアリのほうが幅の広い蟻道を作る(東京都の資料)。ただし幅だけで種類は決まらない
  • 外蟻道があると、基礎の外側も処理の対象にできる。見積りに含まれているか確認する
  • 蟻道がなくてもシロアリはいる。アメリカカンザイシロアリは蟻道を作らず、砂粒状の糞を落とす
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